風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2009年11月5日

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野村 滋 (のむら・しげる)

株式会社コンテンツ・ファクトリー代表

情報誌会社勤務時代に取材で、創立間もない風の谷幼稚園と出会う。その後12年間、風の谷幼稚園の変遷を追い続けている。風の谷幼稚園の教育実践記『4歳の胸のうち』『5歳の誇り』を同社から出版。

 「コミュニケーション力が大切だ」

 「コミュニケーション力を育てよう」

 ・・・

 学校教育に関わらず、経済社会、地域社会などあらゆる場面で問われる「コミュニケーション力」。しかし、そもそも「コミュニケーション力」とはいったい何を意味しているのだろうか?これについては各人が明確な定義やイメージがないまま「便利な言葉」として使っていることが少なくないのではないか?あるいは定義があったとしても、それは各人各様で話がかみ合わない。まるで「コミュニケーション力」という言葉そのものがコミュニケーションを混乱させているような事態も少なくないように感じる。

 実は2年前まで風の谷幼稚園においても、誇りを持って生きていくために必要な力として「コミュニケーション力」を掲げていた。しかし昨今、巷で言われるコミュニケーションの概念と、自分たちの意図する概念のギャップを懸念し、言葉のラベルを貼り替えることにしたという。では、風の谷幼稚園がかつて「コミュニケーション力」という言葉で表現しようとしていた概念とは何なのか?

「人と交流できる力」について語る
天野優子園長

 「ひと言でいえば『心を通い合わせる力』ということです。ところが、現在は会話の技術であったり、自分の言いたいことを相手にわからせるといったような、極めて表面的で技巧的な言葉として使われることが多くなったように思います。そこで誤解を招かないよう、最近は『人や自然と交流できる力』と言葉を置き換えることにしました」(天野園長)

 前置きが長くなったが、この言葉のラベルは枝葉末節の話。風の谷幼稚園で子どもたちに身につけさせようとしている「人や自然と交流できる力」の真の姿について具体的に見ていこう。(なお、今回は「人と交流できる力」に絞って紹介することとし、「自然と交流する力」については以後の回で紹介する)

人と心が通い合えば 生活は楽しい

 まず、この教育目標の源泉にあるものは「人と心を通い合わせることができれば、生活が楽しくなる」という価値観だ。これについて異論のある人はないだろう。では、どうすれば、心は通い合うのか?これについて風の谷幼稚園では、幼児期の原体験が大切だと考えている。

 「まず、子どもにとっての心の交流はおむつの時代から始っています。『気持ちが悪いのではないかしら』『おしっこでかぶれるのではないかしら』という自分に向けられた親の気遣いを子どもたちは受け止めています。言葉がなくても心を通い合わせることができるという経験は、子どもにとっても親にとってもたいへん貴重な原体験です」(天野園長)

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