2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年2月5日

 1月6日付の英フィナンシャル・タイムズ紙が、社説で、オバマ政権は北朝鮮を優先外交課題に復帰させるべきであると述べています。

 北朝鮮は、今日の世界で、安全保障に対する最も危険な脅威である。これは今までわかっていたことだが、4回目の核実験は、それが水爆だったかどうかは別として、北朝鮮の核問題のジレンマがいかに深刻かつ手におえないものかを改めて示している。

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 20年以上にわたり米国など国際社会は「飴と鞭」によってあらゆる手立てをとってきた。1994年にはクリントン政権が枠組み合意をした。しかし、その後合意は崩壊した。近年、関係国は制裁措置による強硬アプローチに転換した。今回も安保理はこのアプローチを継続して新たな制裁をとることになるかもしれない。しかし、そのような制裁措置は北朝鮮の孤立感を深めるとともに北朝鮮の決意を一層強めることになってきた。そのため今後の対応は一層難しい。

中国はもっと大きな義務を果たさねばならない

 北朝鮮への対応に当たっては、金正恩(32歳)の性格を見極める必要がある。彼は核開発が自分の権力強化にとって不可欠だと考えている。権力基盤が安定すれば同人も軟化するだろうとの楽観的な見方もあるが、今回実験をみるとそのようなことが早期に起きるとは思えない。

 オバマ政権は北朝鮮を優先外交課題に復帰させるべきだ。オバマはイランとの交渉を重視し合意を達成したが、それに安閑としている訳にはいかない。その間に北朝鮮は静かに核兵器を開発した。

 中国はもっと大きな義務を果たさねばならない。2013年の核実験のあと中国は明らかに怒り、金融制裁を強化する安保理決議を支持した。中国は北朝鮮に石油、ガスを供給するなど北朝鮮にとっては最大の貿易相手国である。中国は北朝鮮の崩壊を避けたい。習近平は厄介な北朝鮮をそれが暴発する前に抑えるべきだ。

 この危険な膠着状態を破るためには、経済協力と引き換えに非核化を金正恩に受け入れさせることが必要となる。同人がかかる合意を受け入れる合理性を持っているかどうかは分からない。しかし、目下大事なことは、米中が協力して北朝鮮に対峙することが共通利益だと認識することだ。アジア太平洋で米中は多くのことで対立しているが、北朝鮮の脅威は米中双方にとって危険な事だ、と述べています。

出 典:Financial Times ‘The intractable dilemma posed by North Korea’(January 6, 2016)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/cb187806-b470-11e5-8358-9a82b43f6b2f.html#axzz3wStQaenM


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