ベストセラーで読むアメリカ

2009年11月4日

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■今回の一冊■
THE ACCIDENTAL BILLIONAIRES
 筆者Ben Mezrich, 出版社Doubleday, $25.00

 アメリカのシリコンバレーに、「インターネット時代のゲイツ」と呼ばれる青年起業家がいる。今や世界最大となったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「フェースブック」(Facebook)を、ハーバード大学の学生だった2004年に創業したマーク・ザッカーバーグだ。同じくハーバード大学を中退して、パソコン向けOSでマイクロソフトという巨大帝国を築いたビル・ゲイツと何かと比較される存在だ。

 もともとは、学生向け交流サイトとしてスタートしたフェースブックは現在では、世界で9000万人を超える人々が利用する巨大サイトに成長。2007年にはマイクロソフトが、フェースブックの株式1.6%を取得するため2億4000万ドルを出資した。フェースブックは未上場会社だが、マイクロソフトによる出資額から逆算して、企業価値が150億ドルにのぼることになる。

 創業者で筆頭株主であるザッカーバーグは若くして、billionaire(億万長者)に成り上がってしまった。本書のタイトル「Accidental Billionaires」(たまさかの億万長者たち)とはまさにザッカーバーグのことをさす。

 フェースブック創業の経緯を追ったノンフィクションである本書はしかし、ザッカーバーグの単純なサクセスストーリーではない。ザッカーバーグの親友で創業時に資金を提供したハーバード大学の学生Eduardo Saverin(エドアルド・サヴェリン)の視点を通して、学生のお遊びだったフェースブックが巨大サイトに成長するなかで、2人の友情にもヒビが入り裏切りが起きた様子を描く。

 ほんの思いつきで立ち上げたサイトが瞬く間に広まり、大学生が非情なシリコンバレーの大人たちのゲームに巻き込まれて挫折を味わう、ほろ苦い青春ドラマとしてネット時代の学生起業家の現実をうまくまとめた。

シリコンバレー文化になじめない“普通の学生”

 創業当初のフェースブックは、サイトの技術面をザッカーバーグが担当し、広告主の募集や資金調達などの事業面をサヴェリンが担当した。しかし、ネット上で音楽ファイルを交換するナップスターを創業した、シリコンバレーの伝説の起業家Sean Parker(ショーン・パーカー)が、フェースブックに目をつけ接近してきたことで、フェースブックの未来と、ザッカーバーグとサヴェリンの友情に大きな変化が起きる。

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