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2016年2月27日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

 経営再建中のシャープの行方がどうなるか注目されていたが、取締役会を開いた結果、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ることが25日に決まった。これとは別に日本の官民ファンドの産業革新機構は3000億円を出資する案を提案していたが、採用されなかった。最終的には7000億円という巨額の支援をすることを表明していた鴻海の資金力に軍配が上がる形での決着となった。

 日本の大手家電が外資に会社丸ごと買収されることは初めてのケースで、今後は鴻海の経営方針の下で液晶技術を軸にした製品開発による立て直しを図ることになる。鴻海はシャープのブランドは残し、雇用は維持するとしているが、外資に買収された後もブランド力を維持するのは厳しい道のりになりそうだ。

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鴻海はシャープの技術を活かせるのか?

 シャープは虎の子と言われてきた「イグゾー」という最先端の半導体技術を持っている。消費電力が少なく 高精細の画面表示が可能になるインジウム、ガリウム、亜鉛で構成される酸化物半導体で、自社ブランドで商品を作った経験のない鴻海がこうしたシャープの技術ブランドを生かした製品作りができるかどうかが大きな課題になる。

 鴻海はこれまで自分のブランドを持たずに、アップルのアイフォーンなどのEMS(受託生産)を中心に手掛け、 いわば黒子的な立場だった。しかし、今度はシャープのブランドを活用して自らの手で世界に向けて商品を売り出し、ヒットを狙っている。この目算があるから 7000億円もの巨額の資金を惜しげもなくシャープに 投入する決断をしたといえる。

 M&Aデータのレコフの担当者は、これまでの技術を売りにしたM&A事例について「どちらかというと落ち目になった技術を将来性があるように見せて、会社を高い値で売ろうとしたケースはあったが、シャープのように最新技術を売るケースはこれまで例がない。それだけにEMSに特化してきた鴻海がはたしてシャープの技術をうまく活用できるかどうか不確定だ。シャープの技術者が鴻海の方針についていけるかもわからない」と指摘する。

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