家電口論

2015年10月21日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

 家電で有名なのは、ドイツのIFA(9月)、日本のCEATEC(10月)、アメリカのCES(1月)です。しかし、ネットでの情報過多の現在、その存在意義は薄れつつあると言われます。確かにCEATECに行くと、様変わりしたように思います。規模も小さくなっていますし、その上、最終製品ではなく、パーツの専有割合も大きいですからね。

 逆にIFAの規模はスゴいです。CEATECが行われる幕張メッセの数倍ある、メッセベルリンの巨大な敷地全部を使いますから。しかし双方共に、同じ課題を抱えているのは事実です。それは、「今からどうするのか?」ということです。

展示会にならなかったPCと、PCに煽られたAV

 CEATECの前身はエレクトロニクスショーです。学生の頃は、よく行きました。最新版のAV機器を全て見ることもでき、カタログも全部手に入る。カメラが好きな人は、キレイなコンパニオンを何枚も写真に撮ります。デジカメでなく、フィルムカメラですからね。バシバシ撮ると、万札が飛んでいくような状態です。

CEATEC2015。中国のドローンメーカー・DJI。今年も中国系企業のブースが盛り上がっていた

 朝一番に乗り込み、終日見て歩き、ブースメンバーの一同が総出した「さようならの挨拶」を受けて帰る。帰りは、帰りで、一緒に行った友だちと居酒屋で、本日の収穫の確認。東京モーターショーと共に、面白かったです。

 このエレクトロニクスショーに翳りが出たのが、1997年。パソコン・ブームのためです。当時流行った言葉に「ドッグ・イヤー」という言葉があります。PCの発展速度を揶揄した言葉ですが、まさにAVにおける7年の進化を1年に凝縮したような速度です。

 PCの展示会も盛んに行われました。米国のコムデックスが有名ですが、日本ではCOM JAPAN。これに来場者を奪われた形です。ところがPCの展示会は、あまり面白くない。1つは体感的な、展示方法がないためです。理由はいろいろあるのですが、数値で表される性能のビジュアル化をスマートにすることができなかったのが1つですね。

 片や、AVはビジュアルそのものですからね、新旧の単純比較すら可能なわけです。この差は大きいです。2つ目は、情報鮮度です。7年が1年となりますと、1.7カ月に1回、展示会を行なって丁度になります。要するに、1カ所に集めて展示という手法だと追いつかなかったのです。

 AVはPCにユーザーを取られて厳しい状態。PCは展示会をするなら、いろいろな工夫が必要な状態だったのです。「統合すると、お互いの欠点が補えるのでは?」という発想で、エレクトロニクスショーとCOM JAPANを統合してできたのが、CEATECです。

CEATECはなぜ行き詰まっているのか?

 コンセプトに、「人々がワクワクする未来を提案し、次のビジネス機会を創出すること、そして、来場者が未来を感じられる場を創り出すこと」を掲げ、展示会は再出発しました。

10Kのパネルを展示して注目を集めた中国のパネルメーカーBOE

 ところが、統合後もパッとしません。少なくとも来場者人数は、目立って増えていません。

 1つは商品展示を、量販店に取られたことがあげられます。例えばヨドバシカメラ。品揃えがスゴい。しかも発売直後の新製品も置いてありますからね。昔からの「全部見られます」という展示は、日本の場合は、展示会に来るより量販店の方が手っ取り早いほどです。

 2つめは、説明がプア。少なくとも、CEATECで「イイ」と感じるプレゼンテーションにあったことはないです。

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