家電業界で社長の偏差値が高い企業はどこか ソニーの偏差値42、シャープ36、パナソニック54……


山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)  常葉大学経営学部教授

住友商事地球環境部長等を経て現職。経済産業省地球温暖化対策技術普及等推進事業審査委員会、東京商工会議所エネルギー・環境委員会委員などを務めている。近著に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム)。

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迷走を続ける日本のエネルギー政策。海外の事例をもとに、問題の本質と解決策を導いていく。

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シャープの業績が低迷している。株主総会も大荒れになり、高橋社長への退陣要求が出されるほどだった。5年前には1000円を超えていた株価が8割以上も下がり、おまけに減資となれば株主が不満を持つのも無理はない。

 ほんの数年前まで「世界の亀山モデル」ともて囃された液晶テレビも、吉永小百合が宣伝をしていた太陽光パネルも見る影もない。私もシャープの少しとんがったパソコンが好きで、ワイド液晶のノートパソコンとか、小柄のモバイルを愛用していたが、そのパソコンもいつの間にか市場から消えた。

 日本の家電メーカは、リーマンショックの影響を受け一時、業績が低迷したが、大半の企業は業績が回復している。シャープの何が問題だったのだろうか。シャープほどの落ち込みではないが、ソニーも長く業績が低迷している。シャープとソニーの経営陣の能力に問題があるのだろうか。 

社長の偏差値

 受験の時には、偏差値がよく利用される。平均が50になるように得点を調整し、全体のなかで自分の位置を知ることができる指標だ。この偏差値を経営指標に利用すれば、経営者の能力をある程度測ることができる。自社が不調でも、業界全体も不調であれば、業界のなかでの位置、偏差値は悪くないはずだ。偏差値が低ければ、それは業界のなかで自社の経営があまりうまくいっていないことを意味する。

 もちろん、前経営陣から引き継いだ負の遺産があれば、それは現経営陣の責任ではない。しかし、前経営陣が残した資産もあるかもしれないので、現時点の業績は社長に代表されるいまの経営陣の責任と考えることにする。ここでは、最新(2015年3月末)の連結決算資料と有価証券報告書を基に、家電業界と言われる、シャープ、ソニー、パナソニック、日立、三菱電機、NEC、富士通を対象に各社の偏差値を計算する。

 対象とするのは、次の5分野だ。収益性、財務の安定性、資金繰り、将来への布石、ステークーホルダー(従業員と株主)との関係だ。結果からは、ソニーとシャープが見劣りすることが分かる。分析の最後に、ソニーとシャープの偏差値が低迷している理由と今後の戦略を考えてみたい。

 なお、利用したデータは2014年度のものであり、また取り上げた指標も限定されたものだ。分析の方法によっては、偏差値が変動することには留意戴ければと思う。

収益性

 収益性を測る指標としては、売上高利益率が使われることもあるが、ここでは総資産営業利益率を指標とする。企業にとって最も重要なのは、いくらの資金を利用し、いくら儲けるかだ。少ない資金で大きな利益を出せるのであれば、収益性の高い企業に違いない。

 加えて、売上が増加することも将来の収益確保には重要と考える。いま資産を効率良く利用し利益を出していても、売上が落ちており先細り状態になれば、やがて会社は行き詰まる。対前年度での売上の伸びの比率も参考として示した。

 総資産利益率は図-1、売上の伸びは図-2に示されている。シャープ、ソニーは収益性に見劣りがする。加えて、後ほどみるようにソニーの営業利益は金融部門に依存しており、金融の利益がなければ、営業利益の段階でソニーは赤字であることから、ソニーの製造部門の収益力は他社との比較で大きく見劣りする。収益性の偏差値は表-1の通りだ。

【図1】総資産営業利益率
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【図2】売上高の伸び
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【表1】収益性の偏差値
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著者

山本隆三(やまもと・りゅうぞう)

常葉大学経営学部教授

住友商事地球環境部長等を経て現職。経済産業省地球温暖化対策技術普及等推進事業審査委員会、東京商工会議所エネルギー・環境委員会委員などを務めている。近著に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム)。

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