韓国の「読み方」

2016年5月9日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、前ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15年5月から論説委員。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著『LIVE講義 北朝鮮入門』(10年、東洋経済新報社)を大幅に改訂した『新版 北朝鮮入門』(東洋経済新報社)を17年1月に刊行予定。

 朴槿恵大統領は、軍事独裁を批判されながらも韓国に高度成長をもたらした朴正煕大統領の娘である。逆境に見舞われても決して膝を屈しようとしない強い姿勢は、やはり父親譲りなのだろうか。与党セヌリ党の惨敗に終わった4月の総選挙を受けた朴槿恵大統領の言動を見ていると、そんな思いにとらわれる。総選挙で負けたことへの反省など全く見せず、自らの信念を貫く姿勢ばかりが目立つからだ。

 日本での関心はといえば、慰安婦問題を巡る昨年末の日韓合意への影響に集中している。「日本との再交渉」を公約に掲げた野党の勝利で合意履行が難しくなるという見方もあるが、それは単純すぎる。

 合意の履行は、もともと簡単なものではなかった。そうした意味で、韓国側の事情は総選挙の前後でそれほど大きく変化していない。世論の反発は強いけれど、朴大統領は強行突破しようとしている。ただし、限界はある。大まかに現状を見れば、そういうことだ。

4月26日昼、青瓦台で中央言論社編集・報道局長昼食懇談会(YONHAP NEWS/アフロ )

「これからも変わらない」と宣言した

 朴大統領は総選挙から2週間ほど後の4月26日、韓国メディア46社の編集局長や報道局長を昼食に招いて懇談会を開いた。出席者からの質問に答える、事実上の記者会見である。

 細かく紹介するよりも、翌日の韓国各紙の社説を見ると内容が分かるだろう。

 最も保守的で朴大統領よりの姿勢が目立つとも言われる朝鮮日報は、「選挙結果に対する責任問題には一言も言及しなかった。(中略)国民が期待したのとは距離がある選挙結果への評価だと言わざるをえない。このように他人の話をするかのようにしていたのでは、どれだけの国民が納得したか疑問である」と苦言を呈するとともに、「国会と妥協しないという従来の態度に大統領が固執するならば、際限のない摩擦と衝突が繰り返されることになる。国政の混乱は避けられない」と懸念を表明した。

 同じく保守系の東亜日報も、「惨敗しても大統領の考えに大きな変化が見られないのは憂うべきことだ」と指摘する。

 進歩派の各紙は、当然のことながらさらに厳しい。ハンギョレ新聞は「何も変わっていない。大統領は独善と傲慢という部屋に高い壁を作り、そこから出てこようとしない」と指弾。京郷新聞は「朴大統領は(総選挙のあった)4月13日以降も変わっておらず、これからも変わらないということを公開の場で宣言した」と指摘し、「民意を最後まで否定して変化を拒否するならレームダック(死に体)が前倒しでやってくることを知らねばならない」と主張した。

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