メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2016年5月29日

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いであつし (いで・あつし)

コラムニスト

1961年、静岡県生まれ。コピーライター、「ポパイ」編集部を経て、コラムニストに。共著に『“ナウ”のトリセツ いであつし&綿谷画伯の勝手な流行事典 長い?短い?“イマどき”の賞味期限』(世界文化社)など。
 

日本有数のパンツ作りの町

イタリアで絶賛されたエミネント社オリジナルブランド「カルツォーニ」の美脚パンツ。税込27,000円(右)と23,760円

 ズボン。スラックス。今ふうに言えばパンツ。ジャケットやシャツに比べて目立たないアイテムでありますが、最近ではチョイワルオヤジブームから火が付いて、穿(は)けばスマートに見える美脚パンツが人気を博している。だが人気のメンズ美脚パンツというと、やはりイタリアのブランド勢が席巻しているのだ。

 そんななかで、唯一気を吐くメイドインジャパンがある。パンツ専業メーカーのエミネント社が作るカルツォーニというオリジナルブランドだ。昨年は、年に2回イタリア・フィレンツェで開催される世界最大級の紳士服展示会ピッティ・ウォモにも出展を果たし、日本の織物技術を駆使した美脚シルエットのパンツが世界中の目の肥えたバイヤーたちに絶賛されたのである。

 そこで今回、ワレワレが訪ねたのは長崎県の松浦市である。かつては炭鉱の町として栄えていた松浦市は、昭和30年代に相次ぐ閉山から町を守るために企業の工場誘致を推し進めた。それに名乗りをあげたのが、昭和24年(1949)創業、大阪のエミネント社だ。昭和44年にエミネント社の松浦工場が建てられると、松浦市は炭鉱の町から、今では国内生産の約1割を占める、日本有数のパンツ作りの町に生まれ変わったのである。

 長崎県の北端に位置する松浦市は、伊万里湾の美しいコバルトブルーの海を臨む小高い山と小さな島々に囲まれた、のどかな港町。海沿いを走る松浦鉄道はかわいい単線列車だし、バスも1時間に1本あるかないか。「すごい遠くまで来ちゃったなぁ」というのが正直な感想だが、工場前のバス停の標識にちゃあんと「エミネント前」と書いてある。

 ワレワレを出迎えてくれたのは、社長の前田周二さんだ。さっそく前田さんの案内で工場見学をさせてもらうと、まず驚くのが、なんと社員はほぼ女性なんである。

 

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