世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月16日

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 過去15年、アフガニスタンでは多くの軍事作戦が行われ、日本を含め多くの国が莫大な援助をつぎ込みました(日本だけでも約58億ドルの支援を実施)。しかし、国際社会の努力が無益だったということでは決してありません。国際社会の支援がなかったらアフガニスタンはもっと酷いことになっていたでしょう。また、完全には上手くいっていませんが、15年間の過程を通じてアフガニスタンは文明的な政治のやり方に触れてきたという学習効果は大きいです。

 パキスタンの問題はつとに指摘されていることです。社説は、アフガニスタン問題の大半の責任はパキスタンにあると厳しく批判しています。米国も手を焼くほどですから、パキスタン軍組織は驚くべき深淵さを持っているのでしょう。しかし、パキスタンの手強さのもう一つの側面は、その複雑な地政学的位置と、それを利用する政治力であるように思われます。パキスタンは依然として中国と深い関係を維持しています。中国は、パキスタンとインドの競争関係を利用し、アフガニスタンへの影響力を強め中国のプレゼンスは格段に高くなっています。更に、パキスタンはインドと並んで核を保有しています。

トランプは撤退を主張

 アフガニスタンから米軍が撤退するわけにはいきません。撤退すれば今までの努力が元も子もなくなります。オバマは2015年10月、16年末までに駐留米軍を撤退させるとの方針を撤回、16年の大半は9800人の駐留規模を維持し、大統領の任期末の17年1月時点でも5500人を残すと発表しました。当初、15年末までに5500人に減らす予定でした。オバマはこのまま約1万人を維持していくのか、あるいは昨年の発表通り5500人に削減するのかどうかを決断しなければなりませんが、削減できる状況ではありません。

 そしてオバマの後は次の大統領が決めることになります。クリントンは、昨年のオバマの決定を支持するとともに、アフガニスタンの民主主義と安全保障にコミットすると述べています。他方、トランプは13年頃には、アフガニスタンから撤退すべきだ、米国は多大の金を浪費している、と主張していましたが、今年3月の共和党討論会では、当面アフガニスタンに残るべきだと見解を変えています。また、パキスタンには厳しい見方をしているようです。
 

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