海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年7月19日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「全国党大会の課題と本選挙の見所」です。いよいよ共和党は、7月18日から中西部オハイオ州クリーブランドで、一方、民主党は同月25日より東部ペンシルベニア州フィラデルフィアでそれぞれ全国党大会を開催します。

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 トランプ候補及びクリントン候補は、課題を抱えて大会に臨むことになります。本稿では、全国党大会における両候補の課題について、党内の統一、好感度、米軍最高司令官及び文化的多様性の4つに分類して説明します(図表)。そのうえで、全国党大会後の本選挙の見所について述べます。

党内の統一

 第1の課題は、党内の統一のイメージを有権者に発信することができるかです。2012の共和党候補ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事、08年の同党候補ジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州)、ジョージ・W・ブッシュ前大統領及びジョージ・H・W・ブッシュ元大統領に加え、共和党指名を争ったジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事も共和党全国大会に欠席を表明しています。異例なことに、全国党大会が開かれる地元オハイオ州のジョン・ケーシック知事はトランプ候補をいまだに支持しておりませんし、大会で演説を行う予定もありません。共和党の外交政策の重鎮である元国家安全保障問題担当大統領補佐官ブレント・スコウクロフト氏は、クリントン支持を明らかにしました。

 そのような状況で、トランプ候補は党内の結束を図れるのかが課題になっています。率直に言いますと、党内の統一はかなり困難です。仮に、カリフォルニア州サンノゼで発生した以上の大規模の抗議運動がクリーブランドで起きますと、共和党のイメージ低下は回避できません。

 他方、民主党は統一が可能でしょうか。民主党は、現在非常にリベラルなグループ及び中道でやや右寄りのグループに分裂しています。それに加えて、党内では世代間の分断も起きています。若者を中心とするサンダース陣営と中高年の女性を核とするクリントン陣営に分裂しているのです。

 以前説明しましたが、民主党を羊の群れに喩えますと、それぞれの群れが異なった方向へ進んでいるのです。クリントン候補は、自力で羊の群れをまとめて同じ方向へ向かわせることができません。そこで同候補は、「羊飼いのリーダーシップスタイル」を取らざるを得ません。羊飼いは、後方から支援をしながら犬を使って群れを統一します。

 民主党内で羊飼いの犬の役割を果たすのが、バーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)なのです。クリントン候補支持を表明した同上院議員に、全国党大会の演説でクリントン陣営とサンダース陣営の枠を外し、「打倒トランプ」の共通目標を設定してもらいます。トランプ候補と同様、クリントン候補も統一の課題を抱えていますが、筆者は、民主党は共和党よりも結束を図る可能性が高く楽観的にみています。

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