WEDGE REPORT

2016年7月26日

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 トルコで発生したクーデター未遂の全貌が徐々に明らかになってきた。さまざまな情報を総合すると、事件は独裁体制を強めるエルドアン大統領と米国に亡命中のイスラム指導者、ギュレン師とのトルコの支配をめぐる壮大な権力闘争の帰結だった。国家体制を全面的に作りかえようとする“エルドアン革命”はどこに向かうのか。

クーデター非難のデモ更新をするイスタンブールの人々(Getty Images)

急きょ、前倒して決行

 7月15日に始まった軍反乱派のクーデターが約12時間で失敗に終わった後、エルドアン氏の対応は素早かった。同氏は事件をギュレン派が画策した反乱と断定。クーデター未遂への関与が疑われる軍の将兵ら約7000人を逮捕、警察や司法組織の当局者を合わせると1万人以上を拘束した。

 同時に国家公務員や教育者、判事、知事、地方自治体の長ら約6万人を解雇、事実上の永久的な公職追放に処分にした。発覚直後、反乱派は小規模と見られていたが、軍の356人の将軍、提督のうち少なくとも99人がクーデター未遂に関与したとして拘束され、最初の見立てからすると、はるかに大規模な広がりを持っていたことが判明している。

 クーデターは当初、7月16日の午前3時に決行される手はずになっていた。しかし、トルコのハカン・フィダン長官率いる情報機関が15日の午後、南西部のギュベルジンリクの軍事基地など全国で軍の不審な動きがあることを察知。これがクーデターの首謀者らの知るところとなり、急きょ、15日の夜に前倒して決行された、という。

 クーデターの計画は「考えられないほどお粗末な内容」(米アナリスト)で、軍幹部や有力政治家の拘束や大統領官邸、議会、主要な役所などの押さえも綿密に練られたとは思えないほど杜撰なものだった。とりわけ、地中海のリゾート地に滞在中だったエルドアン氏の暗殺を狙った特殊部隊が簡単に撃退されるなど、失敗するのが当然のような計画だった。

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