チャイナ・ウォッチャーの視点

2010年2月14日

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有本 香 (ありもと・かおり)

ジャーナリスト

企画会社経営。東京外国語大学卒業後、雑誌編集長を経て独立。近年とくに中国の民族問題の取材に注力している。『中国はチベットからパンダを盗んだ』(講談社)『なぜ、中国は「毒食」を作り続けるのか』(祥伝社)の他、近著に『中国の「日本買収」計画』(WAC BUNKO)がある。

 ただ今、米国出張中のため、必然的に米メディアのニュースに触れる時間が長い。過去一週間の印象に残るニュースといえばやはり、全米メディア合従の感もある「トヨタ叩き」だが、ほかにアジア関連では「オバマ、ダライ・ラマ会談」のニュースが興味深かった。

米国人が待ち望んだオバマ、ダライ・ラマ会談

 実はオバマ大統領の就任早々から、チベット支援者の間ではオバマ、ダライ・ラマ会談を望む声は高かった。

 オバマは就任式のスピーチに臨んだ際、ポケットにダライ・ラマのカター(チベットで客人に贈られる白いスカーフ)を忍ばせていた(とはいってもこのカターはオバマに贈られたものではなく、他人のものを直前に借りただけ)というエピソードがたちまちのうちに世界中のチベット支援者に広まり、皆が二人のカリスマの初会談を心待ちにした。

 就任当初、絶大な人気を誇ったオバマのことを、「チャーミングではあるが、女癖の悪いクリントンのような人ではなく、バラク・オバマはさしずめダライ・ラマのようにストイックで魅力的な人物だ」と評した識者も出た。当時、それほど輝かしく皆の目に映ったバラク・オバマと、聖人ダライ・ラマの2ショットを米国人が見たくないはずはなかった。

 ところが、オバマが「国民皆健康保険法案」「アフガン増派」「失業率」等の試練にもがき、支持率と輝きを失っていく中で、二大カリスマ会談の実現も霧の中に入ってしまう。 

 はじめは「秋には行なわれる」と期待されたダライ・ラマとの会談は、昨年11月のオバマ訪中、続いて行なわれた「米中戦略対話」への影響を考慮して延期され、その後、昨年内には行なわれるのでは、とも囁かれたが、結局見送られてきた。

もちろん中国は大反発

 今回の会談発表に中国が激しく反発していることも無論、米メディアは伝えている。このニュースに対する一般の米国人の反応はというと、もし、これが日本での事態であったならどうか、と想像した場合のそれとはだいぶトーンが異なる。

 まず、米国では、とくにアジアやチベット問題に関心があるわけでない人でも、「ダライ・ラマ」とは誰かをよく知っている。

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