BBC News

2016年9月27日

カマル・アーメド経済担当編集長

国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミスト、ケン・ロゴフ氏は中国経済の減速が世界経済にとって最大の脅威だとの考えを示した。BBCとのインタビューで述べた。

ロゴフ氏は、世界の経済成長のけん引役のひとつである中国経済が「ハードランディング」する可能性が全くないとは言えないと語った。同氏は、「中国は現在、大きな政治的革命のさなかにあり、経済の減速は公式な統計が示すよりもずっと大幅だろう」と述べた。

ロゴフ氏はさらに、「世界のどこで負債の問題があるのか探すのなら、答えは中国だ。信用供与が成長を促した時もあったが、それは永遠には続かない」と指摘した。

国際決済銀行(BIS)は先週、中国の国内総生産(GDP)に対する与信額の比率が1-3月期に30.1%になったと発表し、中国の経済成長が不安定な信用バブルに支えられているのではないかとの懸念が高まった。

銀行のエクスポージャー

英国の中央銀行、イングランド銀行の金融行政委員会(FPC)はこれについて、「国際的な標準と比較して非常に高い水準」とし、国内銀行の中国経済の減速へのエクスポ―ジャーがどの程度なのか検査を始めるとしている。

英銀の香港を含む中国での事業規模は、与信額など含め5300億ドル(約53兆円)に上る。これは英銀が海外に所有する資産の約16%を占めている。

懸念点

現在、米ハーバード大学で経済学を教えるロゴフ氏は、「中国はほかの国とは違って、国家が全てを所有しており、(負債は)管理可能だとみんな言うが、ある程度までしか正確でない。経済のハードランディングは間違いなく懸念点だ」と述べた。

ロゴフ氏は、「すでにかなり急速な経済減速が起きており、中国の問題が拡大する可能性を懸念している」とし、「欧州がどうであろうと、日本がどうであろうと、少なくとも中国は順調だと考え、中国の代わりがあまりないことに意識が向いていなかった」と語った。さらに、「インドがいつかそうなるかもしれないが、経済規模で(中国に比べて)あまりに出遅れており、代わりにはならない」と指摘した。

ロゴフ氏はまた、減速による痛みが感じられるようになる前に欧州各国や米国が経済を安定化させておく必要があると語った。同氏は、「IMFは世界経済の成長率見通しを9年連続で下方修正しており、またそれが繰り返されるという見方が確かにある」と述べた。

中国以外についても、米大統領選の勝者がヒラリー・クリントン候補になるのか、ドナルド・トランプ候補になるのかなど、世界には多くの不確定要素があるとロゴフ氏は語った。

トランプ氏が勝利した場合、どのような政策を推し進めるのか判断が難しく、クリントン氏が勝利した場合でも、例えばインフラ投資計画を進めようとしても、現時点では共和党が多数を占める下院が阻止する可能性があると指摘し、「確かに心配だ。多分トランプ氏が勝利することの方が心配だが、それは何か起きるのがか分からないからだ」と述べた。

「どちらの候補についても、(保護主義的な)貿易政策は良くないと考えている。自由貿易は指導的な立場の米国を多いに助けたと思う。エコノミストとして、今回の選挙は見ているのがつらかった」。

英国のEU離脱の影響

英国の欧州連合(EU)からの離脱については、どのような貿易モデルで合意するのかいまだ不確定で、実際に英国が離脱する時の欧州経済の状況が分からないことから、EU離脱による英国経済への影響は不明だと述べた。

ロゴフ氏はイングランド銀行がEU離脱決定に対して予防的措置を取ってきたことを称賛しなからも、各国の中央銀行は以前よりも恨みを買いやすい立場に立たされていると指摘し、「金融政策には限界がある。万能薬ではない」と語った。

「状況が良い時に自らの手柄とし過ぎたのも、(その後)状況が悪化した時に実際以上の責めを負わされたのも、そうさせた中央銀行にわずかにしろ責任がある。しかし、金融政策は高齢化する経済を若くすることはできない。イノベーションがあまり起きていない経済にイノベーションを起こすことはできない。ゾンビ銀行を抱えた経済を奇跡的に健全にすることもできない」

ロゴフ氏はさらに「現在の金融政策に懸念がある。もともと意図されていなかった役割を負わされようとしている。単に紙幣を刷って配る『ヘリコプターマネー政策』を要求されている」と述べ、「欧州では、中央銀行が社債市場のかなりの部分を買い入れている。中国やインドで行われており、日本でも起きている。ほかにもあらゆる種類の圧力が中央銀行にかけられており、長期的に中央銀行の独立性が失われる懸念がある」と語った。

(英語記事 China slowdown is global economy's biggest threat, Rogoff says

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37470058

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