BIG DEAL

2016年10月11日

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 「日本や韓国との同盟関係を維持する。核兵器の使用をほのめかすような人物は大統領に相応しくない」

 「アメリカは世界の警察にはなれない。公正な負担がなければ日本のことは防衛できない」

議論好きのアメリカ人

iStock

 アメリカ大統領選挙も大詰めになってきた。最近行われたテレビ討論会に釘付けになった人も多いであろう。テレビの視聴者は過去最高の8400万人。インターネット配信で視聴した人を含めると約1億人になるというのだから、まさに世紀の政治ショーである。アメリカ人は元々議論好きの国民だ。中学や高校で早くもディベートの術を学ぶし、大学やMBAではネゴシエーション(交渉術)のコースまである。

 その意味で大統領選におけるテレビ討論会は、白熱したディベート合戦であり、相手のポジションを弱めて自分の立場を強めるためのハイレベルの交渉の場でもある。自分たちの生活を担うリーダー選びに、そのようなショー的要素が加わるのだから、視聴率が上がるのも頷ける。同じタイミングで安倍晋三首相に対する蓮舫民進党代表の参院代表質問があったが、米大統領選のテレビ討論から比べると、面白さの点でも迫力の点でも随分見劣りしたと言わざるを得ない。

 さて、ネゴシエーション・交渉と聞いてどのようなイメージを持つだろうか。TPPや従軍慰安婦問題の報道などでハードネゴという言葉がよく使われるが、非常にタフな現場を想像させる。だが我々は日常生活において、友人や同僚、時には家族に対してでも様々な事柄を相談・議論したり、その結果、相手に何かを譲ったり譲られたりしていないだろうか。実はそれらは広義のネゴシエーションをして、それに基づいた行動を取っているのである。相手との関係と案件の重要性を軸に、どのような行動を取るかをマトリックスに表すと次のようになる。

(MIT Courseware, Prof Mary Roweより著者作成)

 自分にとって瑣末な問題を、自分にとって関係が希薄な人と深く議論や交渉することはない。これを示したのが左下象限の「回避」である。一方、自分にとって瑣末な問題を自分の大切な人が望んできた場合には、我々は往々にして譲ってあげる。つまり右下象限の「譲歩」である。さて、自分にとって最重要の問題を、自分の敵が要求してきたらどうなるか。それは徹底的に戦うはずだ。大統領選はまさにこの象限に当てはまる。徹底的に対決して相手の弱みを白日の下に晒けだし、結果、自らの優位性を極限まで高める。もちろん目指すものは「勝利」である。

 クリントン、トランプとも、互いの暴言問題やメール問題を槍玉にあげて、自らの優位性を示そうと腐心している。ただどちらの候補者も脛に傷を持ち、その傷が公知である現状では、いくら掘り下げても過去の傷そのものが致命傷にはならない。むしろ討論会の席で失言・失態が最大のリスクとなるため、いきおいスリリングな展開となり、視聴者を釘付けにするのであろう。

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