赤坂英一の野球丸

2016年10月12日

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赤坂英一 (あかさか・えいいち)

スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。最新刊『すごい!広島カープ 蘇る赤ヘル』(PHP文庫、『広島カープ論』増補改訂版)が重版出来で2万部突破。ノンフィクション『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)が第15回新潮ドキュメント賞にノミネートされた。ほかに『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『プロ野球コンバート論』(PHP研究所)など。

 セ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)たけなわの最中、マスコミ関係者の間で時ならぬ議論が巻き起こっている。ほかでもない、「CSはどことどこが勝ち抜くのか、日本シリーズはどことどこの対戦が一番儲かるのか」という問題について、である。

 今年の日本シリーズは第1、2、6、7戦がセ、3、4、5戦がパの本拠地球場で行われる。もし広島がCSを勝ち抜いたら、本拠地で日本シリーズの試合を開催できるのは1991年(この年は3、4、5戦)以来25年ぶり。前回はまだ広島市民球場だったから、マツダスタジアムでは初ということになる。

 日本シリーズの地上波テレビの中継権は、希望する局と主催球団の話し合いで決まる。当然、日ごろから親密なつきあいをしているテレビ局が有利で、すでに地元では「1、2戦はTBS系列の中国放送、日本テレビ系の広島テレビでほぼ決まりだろう」ともっぱらだ。そうした事情を踏まえた上で、某テレビ局関係者が声を潜めてこう指摘する。

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カープ人気はいまや全国区

 「正直言って、日本シリーズはカープと日本ハムでやってほしい。カープ人気はいまや、広島だけでなく全国区でしょう。主力選手の黒田博樹や新井貴浩ならカープファン以外の人でも知っている。日本ハムも今年は11・5ゲーム差を引っ繰り返し、大変劇的な優勝を飾った。投手で10勝(4敗)と防御率1・86、打者で打率3割2分2厘、22本塁打をマークした二刀流の大谷翔平が日本シリーズに出場するのも初めて。近年、これだけ話題が豊富な組み合わせはほかにない。実現すれば、テレビ視聴率も広島、札幌地区で平均で40%以上、関東地区でも30%台に乗る可能性がある。まさに最高の黄金カードですよ」

 日本シリーズの中継権料は1試合につき1億5000万円と言われており、広島には最大6億円、日本ハムには4億5000万円の収入となる。日本一を目指す両球団にとっては、実入りの面でも非常に大きなプラスなのだ。

 だからか、プロ野球の御意見番を自任する文化人の間では最近、「CSは廃止したらどうか」という声もよく聞かれる。「日本シリーズは元来、優勝チーム同士で戦うべきもの。優勝できなかったチームが日本一になり得る制度はやはりおかしい」というわけ。CSが導入される以前からくすぶっていた批判が、広島の25年ぶり優勝、日本ハムの大逆転優勝によってふたたび蒸し返されているのだ。

 正論と言えば正論である。大体、プロ野球にはパ・リーグが独自にプレーオフを行っていた期間を除き、2006年までCSなどなかった。CSで日本シリーズのカードを決めるようになったのは2007年からであり、制度としての年齢はまだ〝10歳〟に過ぎない。

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