WEDGE REPORT

2016年10月13日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 今後は各金融機関がこのベンチマークを自己点検・評価すると同時に、金融仲介の取り組みを開示する。金融庁の監督当局は、地域の金融機関の取り組み状況や課題について、仲介機能を高めるよう効果的な対話を行うことになっている。

 数年前までの金融庁は、金融機関の融資から不良債権を少しでも減らそうとして、資産査定一本やりの検査を行ってきたため、地方の金融機関では担保や保証に依存した融資が中心となり、融資額を伸ばすどころか、「貸しはがし」などが多くみられ、新規融資は伸び悩んできた。新方針では、事業採算性が見込める企業であれば無担保融資も認めており、これまでの担保重視から大幅なルール変更を断行した。

ノルマを廃止し顧客ニーズに応える

 こうした方針転換により、営業現場の銀行員にも変化が出てきている。森長官は「金利低下の影響から貸し出しの量を増やそうと、地域金融機関の営業担当者は短期的な数値目標であるノルマを達成しようとして投資信託を売り込むなどして、融資先に対して求められるソリューションを提供できていなかった。しかし、ノルマばかり追いかけていては何時までたっても銀行の業績は良くならないので、ある銀行はノルマを廃止して、取引先のニーズに答えるようにした。

 そうすると、あまり経営の良くなかった銀行の業績が良くなり、銀行員自らも取引先企業の社長と話をすることができて喜ぶようになってきた。こういう取り組みをしている金融機関も増えてきている」と指摘した。営業店の担当者が顧客の事業を理解し、課題を見つけて適切な解決策を提案しているかどうかというプロセスを重視することで、結果として数値目標も達成されるという。

 金融機関の規模が大きいほど経費は減る傾向にあるが、地域の金融機関の貸し出し収益率と貸出残高の関係をみると、必ずしも貸出残高の大きい銀行の収益率が高いわけではなく、貸出残高の小さい銀行でも特徴ある銀行は収益率が高い。このため森長官は「小さい銀行でも収益率が大手より大きいところがある。小さい銀行はニッチ(得意分野)を作れるので、小さくても存続できる。一番問題なのは小さくて特徴のない銀行で、こういうところは経営の在り方を考えたほうがよい」と述べた。

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