したたか者の流儀

2016年11月4日

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パスカル・ヤン (Pascal Yan)

著述家

著述家。ルーヴァン・カトリック大学大学院中退(ベルギー)。証券マンとして25年間、欧州を中心に海外で過ごす。現在の職業は都内大学教授。

 

 外国にも“駄洒落”があるのをご存じだろうか。英語では一言PUNという。フランス語は一言ではないと記憶している。“スリ” “安価”や”鼻くそ“など華麗ではない言葉は英語を使うか、または数語で説明することになる。すなわち、下品な言葉は公式には存在しない。公式に存在しないと、非公式サイドはバラエティーに富むのは世の常だろう。ただし、ネイティブ以外は聞きかじりで使うと命取りになる。そんな言葉を“gros mots”という。

 したがって、だじゃれは、かわいく数語使って“jeu de mots”(言葉遊び)という。

投資の日

iStock

 さて、英語のPUNが10月4日の英国FT(ファイナンシアル・タイムズ)に大きく取り上げられた。すなわち日本では10月4日は投資の日として大々的に“貯蓄から投資”を喧伝する日としていることを揶揄しているのだ。科学であるべき投資を駄洒落にしてけしからんというなら謹んでお聞きすべきだ。しかし、このFTのコラム記事はそうではない。この日、10月4日が投資の日として制定されて以来20年で日本株式は16%下落し、10年で18%下落したことを嗤っているのだ。

 そもそも長期投資は勝つと大学で習う。10年は十分長期投資だ。念のため20年間ほっておいてこの体たらくとなると、どこか間違っているといわざるを得ない。投資の日にこだわらなくても、日本の株式は1989年末の日経平均4万円を25年間も抜いていないどころか半分以下の水準だ。

 ところで、重要な予定があるときは目覚まし時計をセットする。しかし、統計的にいえば100回に一回は何らかの不具合があるようだ。経験的に二つセットすれば完璧だと知っている。両方が同時に不具合となるのは100分の1の100分の1、すなわち1万回に一度しか起きない事故となる。

 これを分散という。10月4日が嗤われる原因の一つには金利のつかない預金に大事な金融資産の50%以上を当てていることはもちろんのこと、最近よく聞く“NISA制度”を利用して生まれてはじめて株を買った人のことだ。民営化時に抽選に当たった郵政三銘柄(日本郵政、かんぽ生命、ゆうちょ銀行)や、大手銀行株を買い付けても買値からずいぶんと下落している。満を持して祖父の世代からの禁を破って、株式投資をしたのに成果は出ていない。

 「年末までに買値に戻らなければ、NISAだろうが、NASAだろうが売って株はやめる」と電車の中で息巻いている人を見たことがある。この人たちは、目覚まし2つセットするのを忘れた人いうことになる。

 そもそも、一銘柄買うのは株式投資とは言わないのだ。投機ということになる。投機は失敗すれば下がる。当たり前のことだ。ではどうしたらよいのであろうか。指数すなわち全銘柄を長期で保有してもダメ。籤で当たった人気銘柄を保有してもダメではどうにもならない。正解は米国では義務教育レベルでも教えている。

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