報道にはすべて裏がある

2016年11月16日

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 崔順実氏や青瓦台の秘書官らが検察によって逮捕されるなか、11月4日、朴大統領はこのスキャンダルについて2回目となる会見を行い、「崔順実氏に関連する事件で計り知れない大きな失望と懸念を与えてしまったことを、もう一度心からおわび申し上げます」と国民に謝罪。青瓦台に捜査に協力するよう指示したことを明らかにし、必要に応じて自らも検察の取り調べを受ける覚悟があると表明した。

 なお、この会見で朴大統領は、「私がインチキ宗教に入れ込んだとか、大統領府で祈祷をしたという話まで出ていますが、これは決して事実ではないと明確に申し上げます」と述べ、韓国メディアが報じる洗脳疑惑を否定。その一方で、崔順実氏の不正について「国家経済と国民の生活に役立つだろうと推進されたことでしたが、その過程で、特定の個人が利権をむさぼり、数々の違法行為まで犯したと聞き、あまりにも残念で痛ましい心境です」と述べた。

 この他人事のような会見での発言に批判が集中。かえって韓国国民の火に油を注ぐ形となった。朴大統領は一両日中にも検察の聴取を受けると見られているが、国民の多くは形式的な捜査にとどまるとみているという。韓国では検事総長の任命権は大統領が持ち、検察が本気で大統領周辺の不正を暴くことはないとの観測も広がる。

 「捜査に応じてみせて時間を稼ぎ、その間に国民の怒りが収まるのを待つというのが大統領周辺の作戦のようだ」(同前)

 国会で多数を占める野党からは退陣要求をつきつけられ、首都で26万人が集まるデモが起きても朴大統領は辞任の意向を示そうとしない。そこにはいま辞めるわけにはいかない事情があるのではないかというのだ。

次期大統領候補の国連事務総長

 「朴大統領の任期は2018年2月までで、与党は後任に国連事務総長の潘基文氏とする方向で動いており、潘氏も意欲があるかのような素振りを見せていました。朴氏も潘氏を自らの後継になってもらい、当選させたいのです。仮に野党側の候補が大統領選で当選してしまえば、自分の身が危ないからです。韓国では現職の大統領は訴追されることはありませんが、辞職した途端にどうなるか分かりません。ただ、朴大統領が期待する潘基文氏は来年の1月まで国連事務総長の任期があります。それまではニューヨークを離れられない。それより前に大統領を辞任してしまえば、潘氏が大統領選の準備に間に合わないということになる。だから、今はなんと批判されようが石にしがみつくしかないはずです」(同前)

 今週末の11月19日にはソウルで再び大規模集会が予定されている。ここで先週末よりも多くの市民が集まるようであれば、退陣圧力はいっそう強まることになる。朴大統領にとって正念場である。

  
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