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2016年11月21日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

 自動運転やライドシェア(相乗り)といった新しい移動手段が登場する「移動革命」が起きつつある中で、タクシー・ハイヤー業界最大手の日本交通の川鍋一朗会長は、このほど日本記者クラブで講演、「配車アプリなどITを活用して世界最高のタクシーサービスを提供できるようにしたい。これからのタクシー業界はスマートフォンを使って呼べる時代に、さらには自動運転の時代になっていくだろう。今後10年、15年かけてこの変化を乗り越えていかなくてはならない」と述べた。
 

「ウーバー追撃」

iStock

 日本交通はタクシー業界の規制緩和が進む中で、国際的にも高いとされる東京都23区(武蔵野市、三鷹市を含む)のタクシー初乗り運賃を現在の730円を410円に引き下げる申請をするなど、タクシー業界を新しい方向にリードしてきた。来年10月にはタブレット型パソコン端末を積んだ「ジャパンタクシー」が東京に登場するそうで、このタクシーは外国語の自動翻訳が可能で、利用者がタブレット上で行き先を指定すれば目的地まで行ってくれて、クレジット決済ができる。川鍋会長は「タクシー専用にトヨタ自動車が開発した。車内のスペースは広く、お客様に送風する風を調整でき、座席暖房もできるなど細かいサービスが行き届き、しかも初乗りが410円で、間違いなく世界一のタクシーサービスが提供できる。

 ロンドンの『ブラックキャブ』やニューヨークの『イエローキャブ』と比較しても価格競争力がある。(この車の開発には)東京都からも予算をもらっており、東京オリンピックまでには東京で走っているタクシーの3台に1台はこの車に変えたい」と抱負を語った。配車アプリの現状については「日本交通はボディーに『アプリで呼べる』と書いたタクシーを走らせている。すでに日本のタクシーのうち4万台がアプリ配車のできるタクシーだ。来年の2、3月にはこれに東京無線のタクシー4千台が加わるし、個人タクシーも入ってくる。配車アプリでいまはウーバーが先行しているが、どんどん追いついている」と指摘、「ウーバー追撃」の動きが強まっている。

 このほか、規制緩和とアプリ配車の実現により、来年以降には乗車前に運賃を事前に決める「前決め運賃」や、急に雨が降ってタクシーが捕まらないときに少し割増料金を払うことにより捕まりやすくなる「ダイナミックプライシング」、相乗りなどのタクシーの新しいスタイルが登場してくるという。

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