11月1日に合格発表のあった、合格率3%台の難関国家資格を皆さんはご存じだろうか?
その資格とは、法律系資格である「司法書士」だ。会社を経営されている方や、土地の売買に携わったことのある方、あるいは法学部出身の方にとっては馴染み深い資格かもしれない。だが、多くの一般の方にとっては「いまいちどんな資格かわからない」というのが率直なところではないだろうか。
しかし、この「司法書士」は今後の人生においてあなたと深く関わる可能性があるのだ。
今回は、司法書士資格について語っていく。
門出を祝う「登記」のスペシャリスト
司法書士は、不動産の売買や所有権の移転・法人の設立手続の際に登記申請手続を行う専門家だ。登記とは、土地や建物の権利の変更や会社設立を法務局に届出をし、社会に公示することである。登記申請は非常に厳格であり、また複雑である。
専門家である司法書士に依頼することにより、その煩雑な手続を解消することができるのだ。不動産の購入や会社の設立は、一般的にその人たちにとっての人生の門出だ。そのような人生の門出をサポートできる「めでたい資格」と言えるかもしれない。
遺言書や遺産相続、そういったお悩みにも対応
「認知症になり、判断力が不十分になってしまったら……」
預貯金の管理など、自らの財産を自分で守れない日がくるかもしれない。そんな時に成年後見制度の支援者としてサポートしてくれるのが、司法書士である。
成年後見制度とは、判断能力が衰えてしまった人の財産管理や判断のサポートを行う立場の人を選出する制度のことである。成年後見人になるのに特別な資格は必要なく、親族が選出されるケースも多くある。では、なぜ司法書士が成年後見人として選出される場合があるのか?
これにも専門知識に基づく業務ならではの理由がある。
まず成年後見人になる手続や必要な書類は、一般の人が収集・作成するのが困難という点にある。時間をかければ解決する問題ではあるが、収支報告書や親族関係説明図などの専門知識も求められる。
また司法書士を後見人とする場合、自分の身に万が一何か起きた場合でも、
・遺言執行
・相続
・不動産売却
などの事柄を一貫して専門家である司法書士に依頼することができる。
以上の事柄から、司法書士が成年後見制度の支援者として選出されるのである。このように考えると、司法書士は人々の「門出の場所」から「終わりの場所」までに広く関われる珍しい職種である。
成年後見制度には、法定後見制度(判断能力が不十分な方のために家庭裁判所が支援者を選出する制度)と任意後見制度(判断能力が十分なうちに、支援者を自ら決める制度)があるが、
詳細は今回割愛するので、興味のある方は是非調べていただきたい。