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2016年12月2日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 今年も米ハウジング・都市開発省による年間のホームレスレポートが議会に提出された。それによると2016年のどこかの時点でホームレスだった人口は54万9928人。うちシェルターに入っていない、いわゆる路上生活者は32%を占める。

 ホームレス人口そのものは緩やかな減少傾向にある。2007年の不況時には年間のホームレスは64万7258人だったから、9年間で15%減少したことになる。しかし問題は大都市圏ではむしろ増加している、という点だ。米国のホームレスは1位がカリフォルニア州の11万8142人、2位がニューヨーク州の8万6352人、3位がフロリダ州の3万3559人。この3つの州ではホームレスが全人口の6%以上となっている。

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 最大の問題はやはりカリフォルニア州だ。ここではシェルターに入っていないホームレスが66.4%と圧倒的多数となる。同じくホームレス人口の多いニューヨークではシェルターが充実しているため4.2%にとどまっているだけに、この差は大きい。しかもカリフォルニア州のホームレスは前年比で2404人の増加となっている。

 都市別ではニューヨーク市が7万3523人と最も多く、次がロサンゼルス市の4万3854人。トップ10にはこのほかサンディエゴ、サンフランシスコ、サンノゼとカリフォルニア州の都市が4つも入る。

 カリフォルニア州のホームレス増加が最も実感できるのはサンフランシスコ市だ。同市のユニオン・スクエアは一流ホテル、ショッピングセンター、ビジネス街などが融合した同市でも指折りの繁華街だが、ホームレスの数が半端ではない。ほとんど1ブロックごとにホームレスに遭遇、この辺りを歩いていると1日に最低5回は金銭やタバコをねだられたり、ファストフード店の前では「何か食べ物を買ってほしい」と頼まれる。ロサンゼルスも確かにホームレスは多いが、スキッド・ロウと呼ばれる地域に集中しており、ビジネス街でこれほどのホームレスに遭遇することはない。

 筆者はユニオンスクエア近辺のホテルに11月初旬滞在したが、ほとんどのホテルでドアマンを置く、もしくは客の出入りのたびに入口をロックする、などしてホームレスの侵入を防いでいた。「一度中に入られると追い出すのはとても難しい」とホテルフロントは語っていた。

 もちろん市当局でも手をこまねいているわけではない。同市広報によると、サンフランシスコ市は年間に2億4100万ドルのホームレス予算を持ち、市の8つの部局、76の非営利市民団体などがこの問題に対処している。それでもサンフランシスコのホームレスが目立つのは、市の面積対ホームレスの比率にある。1平方スクエア(1.6X1.6キロ)あたりのホームレス人口は149人と、ロサンゼルスの114人を上回る。

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