報道にはすべて裏がある

2016年12月1日

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 「北部訓練場なども苦渋の決断の最たるものだ。約4000ヘクタールが返ってくることに異議を唱えるのは、なかなか難しい」

 11月28日、沖縄県の翁長雄志知事が就任2年のタイミングにあわせて行った記者会見での発言だ。この発言をめぐり、2014年の知事選以来、ずっと蜜月だった翁長知事と地元紙の関係に亀裂が走っている。

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山手線の内側を上回る広さ

 まず、ざっと背景説明をしよう。北部訓練場とは、沖縄本島北部の国頭村と東村にまたがる米海兵隊の演習施設のこと。やんばると言われる本島北部の鬱蒼とした森を利用したジャングル戦闘訓練センターがあり、ベトナム戦争当時は、ここで訓練を受けた兵士が続々と戦地に送り込まれた。その面積は、7543ヘクタールに及ぶ。東京の山手線の内側の面積が約6300ヘクタールであるから、それを上回る広大さだ。

 この北部訓練場の半分以上にわたる3987ヘクタールが近く返還されることになっている。1996年に日米両政府が署名したSACO合意には、その条件が記されている。

 「ヘリコプター着陸帯を、返還される区域から北部訓練場の残余の部分に移設する」

 この着陸帯が現在、東村の高江地区で建設されているヘリパッドだ。返還後に残る3550ヘクタールの用地のなかに6カ所(1つあたり直径45メートル)、高江地区の集落を取り囲むように設置される。

 高江地区では、連日のように基地反対が抗議活動をしているが、政府は全国の都道府県警から機動隊を投入してこれを排除。年内完成を目指して急ピッチでヘリパッドの工事を進めている。12月20日には菅義偉官房長官らが出席して那覇市内で北部訓練場の返還式典が開催される見通しだ。

 これまで翁長知事は、高江のヘリパッド建設工事と北部訓練場の返還については発言を避けてきた。高江にヘリパッドが完成すれば、北部訓練場の過半が返ってくるわけである。工事に反対すれば、「じゃあ北部訓練場は返ってこなくていいのか」との批判を受けるのは必至だ。その一方で、自らの支持基盤である革新系の政党や団体は、ヘリパッドの建設に強く反対しており、同じ姿勢を鮮明に打ち出すよう圧力をかけていた。いわば板挟み状態にあった翁長知事は、ダンマリを決め込んでいたのである。

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