WEDGE REPORT

2016年12月30日

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風樹茂 (かざき・しげる)

作家、国際コンサルタント

作家、国際コンサルタント(kazakishigeru@gmail.com)。1956年、北海道生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。メキシコ留学後、中南米の専門商社を経て、南米アマゾンの奥地でODAプロジェクトの鉄道建設にかかわる。その後は、シンクタンク、研究所勤務などで、首相向けの政策提言、ODA援助、海外投資、NGOプロジェクトに従事。イスラム開発銀行のコンサルタントも経験し、30数カ国を踏査。石油関連事業でカタール、ベネズエラに駐在。

 2009年末か2010年の初めころだろうか。当時ベネズエラ大統領チャべスは「キューバに石油を市場価格で売る」と言い始めた。原油価格70ドル/バレルの時代である。キューバのベネズエラ原油の日量輸入量は10万バレル。もし実費清算となると、年間25億5500万ドルの支払いだ。チャべス死の謎に迫る。

カストロはチャべスにナオミ・キャンベルを引き合わせた?

憲法改正選挙で、終身大統領を目指したチャベス

 チャべスがカストロに初めて会ったのは、1994年12月14日、ハバナでのことだった。このとき、老獪なカストロ(当時68歳)は、青年将校チャべス(当時40歳)を与し易しと、見てとったはずだ。人間味に溢れ、自惚れが強く、度過ぎた女好きである。

 当時、キューバはソ連崩壊後の未曾有の経済危機で、キューバ人4万人は自国を捨て、命がけで筏をカリブ海に漕ぎ出し、フロリダ半島マイアミを目指していた。ソ連がなければ近隣の石油大国ベネズエラがある。カストロが狙うのは原油である。

 幸いチャべスは1998年に選挙で大統領の座についた。選挙キャンペーンでは聴衆の中で彼の演説や歌を聞いて夢心地でいる女を物色していた。目配せで気にいった女を選び、側近が夜の密会を手はずした。関係のあった女性の多くは公務についた。

 ウルグアイの元大統領のホセ・ムヒカはそのような行為をやんわりと批判していたが、カストロはこの性的放縦を利用した。カストロは、以前から知り合いだった世界的なモデル、ナオミ・キャンベルをチャべスに紹介したのだ。名目は英男性誌GQのためのインタビューと、ネルソン・マンデラ財団への寄付であったといわれる。

 2008年の1月カラカスの大統領官邸を訪れたナオミ・キャンベルは「チャべスはゴリラみたいじゃない。闘牛だわ」と呟いたという。ちなみに、日本でも手に入るConcha y toro(=貝と闘牛)というチリのワイン銘柄は男女の性愛を暗喩している。その後も二人の親密な関係はしばらく続いたといわれている。

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