12月27日午後、安倍晋三首相が真珠湾を訪問する。1950年代に吉田茂、鳩山一郎、岸信介ら歴代首相が真珠湾を訪問していたことがわかってきたが、日本の首相として1962年に建設されたアリゾナ記念館を訪問するのは、安倍首相が初めてだ。
安倍首相は、真珠湾訪問に先立ってオバマ大統領との最後の首脳会談を行う。2012年12月に第二次安倍政権が発足し、その翌月の13年1月に第二期オバマ政権が始まった。アジアリバランスを掲げ、アジアを重視する対外政策を追求してきたオバマ大統領と、積極的平和主義を掲げ、限定的ながらも集団的自衛権の行使に道を開く平和安全保障法制を制定した安倍首相は、日米関係を安全保障だけではなく、経済、文化など様々な分野で強化してきた。最後の首脳会談は、この4年間で強化された日米同盟を確認する機会となるだろう。
米議会演説で示した「不戦の決意」
13年末の安倍首相の靖国神社参拝により、米国では安倍首相の歴史認識に強い懸念が生まれた。しかし、15年4月に安倍首相が米議会上下両院合同会議で行った演説は、安倍首相が極東軍事裁判の結果を受け入れない「歴史修正主義者」ではないかという米国内の懸念を払拭した。
この演説の中で、安倍首相は「真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海……、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙とうをささげました」と述べ、戦争で命を落とした米国人の魂に哀悼を捧げた。
安倍首相は、この演説で謝罪はしなかった。日米は、太平洋戦争で凄惨な戦いを経験し、双方に数多くの犠牲者を出した。だが、日米の和解に謝罪は必要ない。安倍首相は、犠牲者を悼み、威厳を持って悲劇の歴史を共有した上で、不戦の決意を実践することが日米の和解の方法だということを示したのだ。