安保激変

2016年5月25日

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辰巳由紀 (たつみ・ゆき)

スティムソン・センター主任研究員

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院で修士号取得。在米日本大使館専門調査員、戦略国際問題研究所(CSIS)研究員などを経て2008年より現職。2012年よりキヤノングローバル戦略研究所主任研究員を兼任。専門は日本の防衛政策、日本の国内政治、日米安全保障関係、米国の対アジア安全保障政策。

 オバマ大統領が5月21日、ベトナム・日本歴訪に向けて米国を出発した。日本では伊勢・志摩G7サミット出席に加えて、安倍晋三総理との日米首脳会談、サミット終了直後に広島を訪問することがすでに発表されている。

 すでにメディアではオバマ大統領の訪日中の日程については「広島訪問」がクローズアップされ、大統領が広島で何を言うのか、言わないのかに始まり、オバマ大統領の広島訪問に応えて、安倍総理がオバマ大統領の任期中に真珠湾を訪問するかどうかについてまで憶測するような論調が飛び交っている。

23日ベトナム、ハノイを訪問したオバマ大統領(Getty Images)

米外交の文脈としても重要な広島訪問

 たしかに、現職のアメリカ大統領としては初めてとなるオバマ大統領の広島訪問は、日本にとって非常に重要なことだ。終戦直前に原爆の被害を受けた広島と長崎は、日本が戦後外交の中で一貫して掲げてきた「核のない世界」という目標の出発点となった土地であるという意味で特別な場所であることは言うまでもない。

 しかし、米国でもオバマ大統領の広島訪問は非常に重要なのだ。1945年に当時のハリー・トルーマン大統領が広島と長崎に原爆を投下する決定を下したことは、「戦争指導者の判断として正しかったのかどうか」という点が今でも議論される。

iStock

 「原子爆弾の投下がなければ、戦争が長引き、日本の本土決戦でより多くの死者が出ただろう。原子爆弾の投下により、それが回避され、本土決戦まで戦争が長引けば戦場に送られていたであろう多数の米国の若者の命を救っただけでなく、そのような事態になっていれば確実に日本人の犠牲者数も増えていた」として、決定は正当なものであったと主張する議論がある一方で、広島と長崎で合わせて14万人ともいわれる犠牲者が出たこと、そしてその大多数が非戦闘員であったことや、当時、米国とソ連の間で「新型爆弾」の開発の競争が進んでいたことを指摘し、原爆投下の決定は、決して正当化できるものではない、という立場もある。

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