ドナルド・トランプ氏が大統領選挙に勝利して約50日。トランプ氏の政策期待による株価の上昇が日米で起きている。個別銘柄の中にはトランプ氏の経済政策を意識して大きく上昇しているものもあり、個人投資家を中心に注目されている。
これまで明らかになっているトランプ次期大統領の経済政策のポイントは、積極的な財政出動によるインフラ投資の推進、個人所得税や法人税の大型減税などだ。こうした中、「トランプ銘柄」ともいえるインフラ関連株や軍需関係、金融株の上昇が目立つ。
グローバルニッチ企業
大手証券会社が12月中旬、都内で実施したIRイベントで多くの投資家の関心を集めていた企業のひとつにヤマシンフィルタがある。同社は建設機械の油圧システムに不可欠なフィルターを製造する会社で、国内シェア70%を誇り、世界にも展開する「グローバルニッチ企業」である。建設機械は土やほこりにまみれた過酷な環境で利用されるため、建機の重要部分に異物が入り込まないようにするための「濾材」は欠かせない。
機械を長持ちさせるには質の高い濾材が必要で、ヤマシンフィルタはその高度な技術とサービス体制で国内外から多くの支持を受けている。トランプ氏のインフラ投資で今後、全米での建設機械の利用が増えると見込まれ、同社の需要が高まるとして株価が上昇しており、実際に選挙前の9月末の529円から、12月28日時点では1180円と2倍以上に株価は上昇している。もともとはBtoBの企業であるが、このところの顕著な株価上昇でメディアに紹介されたこともあって、一躍、個人投資家にも注目されている。
このほかトランプ銘柄として認知されているのは、メタウォーター、共立メンテナンス、日本サード・パーティなどだ。メタウォーターは上下水道のプラント建設などを得意とする総合エンジニアリング企業。米国での案件も多く、トランプ次期大統領のインフラ投資が業務拡大につながるとみられている。
共立メンテナンスは、ホテル事業や寮事業を行っている企業。トランプ効果による現在のドル高・円安の流れで、今後、インバウンド需要の一段の拡大が期待できることから、市場関係者の間では「隠れたトランプ銘柄」とささやかれている。
さらに、日本サード・パーティは、米大手GPU(画像処理装置)メーカーNVIDIAと協業する日本企業として知られ、自動車の自動運転技術が進むと、その「脳」の役割を果たすGPUが多く使われ、NVIDIAのパートナーである日本サード・パーティへの受注も見込まれトランプ氏への期待から、アメリカの技術関連銘柄として注目されている。