BIG DEAL

2016年12月30日

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 騒ぐ・荒れると言われる申年も暮れようとしている。実際、日本の株式市場は、年明け早々から大きく値を下げ、1年を通じてボラティリティーの高い動きを見せた。

ABCDリスク

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 毎年、何らかの経済撹乱要因が存在するものであるが、特に今年の場合はABCDリスクというものが大きくクローズアップされた。Aはトランプ氏のアメリカ大統領当選、Bはブリテン(英国)のEU離脱、Cはチャイナの経済失速、Dはドイチェバンクの破綻であるが、多分現実には起こらないだろう、でも起こったら相当大変なことになるということで、マスコミでも盛んに喧伝された。そしてご承知の通り、AとBに関しては、大方の予想に反してその事象が発生した。そして株価もその前後で大きく変動した。

 英国のEU離脱に関しての直前の予想は、「拮抗しているが、残留が優勢」というものであった。また米大統領選に関しては、紆余曲折はあったが、直前にクリントンが盛り返して勝利確実という声が多かった。私は投票日の前日、ある会合で外務省の方とご一緒していたのであるが、「省内は9割方クリントンということで準備が進んでいる」と話を聞いていたほどである。

 だが蓋を開けてみればいずれの場合も結果は真逆であった。なぜ予想が外れたのかを論じる新聞記事や雑誌は多い。ただ私個人に関して言えば、自分が持っているアメリカ像・イギリス像というのがただの思い込みであって、私自身がアメリカ・イギリスのことを全く分かっていなかったということを強く認識した次第である。私事で恐縮であるが、私にはアメリカに留学している娘がいる。大統領選後、娘のホストファミリーと選挙結果についてどう思うかと聞いてみた。彼女はFaceTimeの向こうでクリアにこう言った。

 「馬鹿者と犯罪者の選択よ。馬鹿は選びたくなかったけど、犯罪者に投票するなんて論外だわ」

 娘の留学先はユタ州。ホストファミリー夫妻はイタリアとドイツからの移民の子孫で、人種的には白人。大卒で、大きな家で子供3人を育て、車も4台所有する。報道でよく聞かれた、トランプを支持するのは低学歴・低収入の白人、というイメージからはかけ離れている。敬虔なモルモン教徒で、信仰や正義観に関しては、極めて分かりやすいというかオーソドックスな人達である。そしてこのような常識的な人は、てっきりクリントンを支持するものだと思っていた。正に思い込みであって、予断である。目の前の相手の真の姿や考えを知る。ビジネスの基本でもあるこの姿勢が大切だと、改めて感じ入った次第である。

 さてM&Aの話をしよう。

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