世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年1月17日

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 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の12月15日付社説が、中国は南シナ海のすべての人工島で大々的な軍事化を行っており、これはA2/AD能力を更に高めるものであり極めて重大である、と警告しています。要旨、次の通り。

(iStock)
 

 2015年9月、習近平はホワイトハウスで南シナ海を軍事化することはないと約束したが、それにしては大規模な軍事化だ。12月15日公表の衛星写真によると中国は南沙諸島の7つのすべての人工島に強力な高射砲とミサイル迎撃システムを配備している。

 3年前、これらの所は高潮時には水没する小さな点だったが、中国は3000エーカーに及ぶ土地を造成した(空母フォードはたったの4.5エーカー)。これは小さな隣国との関係で必要とされる軍事力をはるかに超えている。シュガート中佐は「中国は恐らくもっと大きな敵を念頭に置いているのだろう」と述べている。

 同中佐は、ウェブサイトWar on the Rocksの記事の中で、三大人工島の軍事施設は本土の典型的な戦闘機基地(17000人の戦闘機部隊)に匹敵する規模であると述べている。スビ礁は今やハワイの真珠湾より大きい港湾を保有し、ミスチーフ礁の外縁は首都ワシントンの外縁に匹敵する。

 これらの空間はフィリピン、マレーシア、シンガポール等南シナ海全域を攻撃できる移動式ミサイルを展開するに十分な広さを持つ。中国は既に強力な接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力を持っているがその能力が更に増大する。これに計画中とされる浮遊式原発施設を配備すれば永続的な基地になる。

 米国のシンクタンクCSISは、これらの人工島に高射砲、ミサイル誘導のための目標攻撃レーダー、巡航ミサイル迎撃システム、近接防衛システムが展開されていることを明らかにした。これは重大である。

 12月15日、フィリピンは「深刻な懸念」を表明したが、ドゥテルテ大統領は中国宥和の姿勢を変えていない。インドネシアは今週初めてインドとともに中国に対して国際法順守を求めた。ベトナムは管轄下にある南沙諸島の島の防衛強化に乗り出した。8月には移動式ロケット発射装置を配備した。

 トランプは南シナ海のリスクに日々直面することになる。12月14日、ハリス米太平洋軍司令官は、「如何に多くの軍事基地が南シナ海の人工島に作られようとも、国際空間を一方的に閉鎖することは決して許さない」と述べた。2年前にハリス司令官は、中国は海に砂の万里の長城を築いていると述べた。1月になればトランプがハリス司令官の賢明な助言を求めることを望みたい。

出典:‘China Arms Its Great Wall of Sand’(Wall Street Journal, December 15, 2016)
http://www.wsj.com/articles/china-arms-its-great-wall-of-sand-1481848109

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