世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年1月20日

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 12月18日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙は、「中国が米国の決意を試している」と題する社説を掲載し、中国による米国の無人潜水機奪取を非難しています。社説の論旨は次の通りです。

(iStock)

 米海軍艦艇ボウディッチ号の見ている中で行われた米海軍の無人潜水機の中国による窃取は、多くのことを教えてくれる。中国は米国がこれを大げさに騒ぎ立てたとしつつ、週末に無人潜水機を返還することに同意したが、中国海軍の行為は意図的な挑発であった。中国は公海での航行の自由を維持する米国の決意を試している。

 人民解放軍(PLA)は以前からこういう危険行為をしてきた。2001年4月、PLAは公海上で米国の偵察機を阻止しようとした。距離測定を誤り、衝突、中国のパイロットは死亡、米軍機は中国に不時着した。10日間の対決の後、中国は乗組員と機体を返還した。2009年3月、PLAは米艦インぺカブル号が曳いていた音響測定器を窃取しようとした。

 中国の行動は隣国を威嚇し、東アジアでの覇権を確立する意図を示している。最近、PLAは沖縄と台湾の近くで爆撃演習を行った。日本の対中スクランブル回数は2010年の96回から2015年の571回に急増した。最近中国は、南シナ海の紛争中の岩礁に、約束に反し軍事力を展開した。

 中国はこれらの基地近辺を米国の海・空軍が通過することに反対している。無人潜水機の窃盗は、トランプ政権がそういう哨戒を増やせば嫌がらせに会うとの警告かもしれない。中国はまた潜水艦艦隊を急速に拡張している。無人潜水機は潜水艦への対策に資する。

 中国による無人潜水機窃盗は、スービック湾の米軍基地から50海里のところで起こった。フィリピンのドゥテルテ大統領の反米発言で米比関係が悪化している中、中国はそれを更にひどくしようとしたのかもしれない。

 これらすべては、トランプが少なくとも当初は中国にきつい態度をとることを示す中で起こっている。トランプの目標は明確ではないが、アメリカの太平洋でのプレゼンスを強化するために米海軍を再建するとの約束は実施しそうである。中国の指導者は、これらの力の誇示がオバマと同じようにトランプを威嚇すると考えているかもしれないが、逆効果になる可能性がある。

出 典:Wall Street Journal ‘China Tests U.S. Resolve’ (December 18, 2016)
URL:http://www.wsj.com/articles/china-tests-u-s-resolve-1482086206

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