同盟が消える日(前篇)

普天間仕切った米国側当事者が直言


普天間問題特別鼎談

ブッシュ政権で普天間問題解決のため奔走したリチャード・ローレス元国防副次官その人をはじめ、同盟強化に一度は尽くした当事者たちが、今なまなましく語る。

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収拾のメドが立たない普天間問題。2006年合意で、地元は落ち着いていた。それをご破算にしたら、解決の道を失うのは目に見えていたハズ。このままでは、米国が日本とアジア防衛のため必要と考えるレベルの軍事力を、日本に維持できなくならないとも限らない。ましてや積年の課題、集団的自衛権の実効化など無限の彼方に遠のき、日米間には防衛義務についてバランスを失した状態が永続化する。そのとき米国は、日本との同盟を真剣に再考せざるを得なくなるのではないか。

――ブッシュ政権で普天間問題解決のため奔走したリチャード・ローレス元国防副次官その人をはじめ、同盟強化に一度は尽くした当事者たちが、今なまなましく語る。以下掲載するのは、米国のシンクタンク(NBR)がウェブサイトに掲げた鼎談インタビュー記事。許しを得て翻訳掲載する。鳩山政権の人たちにこそ、まっさきに読んでほしい中身だ。

『同盟が消える日――米国発衝撃報告』 (谷口智彦・編訳、ウェッジ)

 ウェッジ出版は先ごろ、ローレス氏とそのグループが発表したさる報告書の翻訳をもとに、『同盟が消える日・米国発衝撃報告』を緊急出版した。普天間問題が起きる以前に書かれた報告書は、それでも深刻な内容を含んでいた。日米同盟には、実戦上の使用に耐えない構造的欠陥がある。放置していては、いざというとき瓦解するから、今のうちに互いの要求レベル自体を一度思い切って落とし、日本防衛に同盟の目的を限定させ再出発すべしとしたものだ。日本は国際貢献など手がける前に、頭上の蠅を自分で追える実力を身につけるのが早計と言ったに等しい、それはストレートな提言だった。

 あれから普天間問題が深刻化、リポートの著者たち3人を集めて語らせたこの鼎談インタビューは、それだけ悲観的色調を強めている。

(翻訳・構成=谷口智彦・慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授)

2009年、日本では自由民主党から民主党へ歴史的政権交代が起き、鳩山由紀夫氏を総理とする体制が生まれた。それ以来というもの、米日同盟は厳しい緊張を経験している。第二次大戦後50年になんなんとする期間、アジアの平和と安全にとって要をなしてきたのが米日同盟である。だとしてもこの先、同盟はどんな道を辿るのか。重い問いかけがなされつつある。

Asia Policy〔NBRのウェブレター〕編集長のアンドリュー・マーブルは、NBRシニア・リサーチ・アソシエイトのマイク・フィネガン、元国防総省アジア・太平洋安全保障担当副次官のリチャード・ローレス、そして元国防総省計画資源担当副次官補、ジム・トマスの3人にインタビューした。以下に掲げるのがそれである。同盟における目下の緊張と、米日関係の将来に与える影響について検討を加えてみた。

インタビューは3部に分かれる。第1部では、民主党が政権を掌握したことに伴う影響と、なかんづく、2006年に米日両国政府が約束した合意の実行を中絶させた決断をとりあげる。第2部は、両国関係において米日双方が互いにどんな期待を抱いてきたか見たのち、それら期待が今度は同盟にいかなる影響を与えるものかを考える。最後のセクションでは、米日関係の将来を評定してみることとする。

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アンドリュー・マーブル:米日同盟関係において生じた問題は、新しく政権に就いた民主党の政府が2006年の両国合意を見直そうとしていることです。とりわけ海兵隊のグアム移転、ならびに海兵隊普天間基地の閉鎖について検討し直そうとしている。本件にさほど詳しくない読者のため、まずは2006年合意の中身について触れていただけますか。

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