WEDGE REPORT

2017年1月31日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

 TOTOが海外での売り上げを着実に伸ばし、これまで思うように浸透していなかった温水洗浄便座「ウォッシュレット」の販売が2016年度第2四半期(10月末)でみると、12年同期と比較して2.5倍伸び、世界市場に向けて本格的な普及期を迎えようとしている。中でも中国市場はこの数年は30%~40%増加、大きな柱に成長してきている。1990年代の初めから現地で販売をスタートし、ウォシュレットを使うことを経験した中国人観光客の購入が、中国国内や日本で増えたことなどで都市部を中心に徐々に浸透している。インバウンド(外国人観光客)が伸びたことが普及する上でプラスになっているといえる。今年創立100周年を迎える同社は一段とグローバル戦略を強化する方針だ。

南京駅で昨年7月に行ったウォシュレットのPR展示

「中国が主戦場」

 1979年に進出した中国の売上高は、600億円を超えて営業利益率も20%を超えるなど大きなウエートを占めるようになっており、16年度は北京、上海、広州、天津、深圳の一級都市を重点的に攻略、かなりの成果を上げてきた。レストルーム事業担当の麻生泰一上席執行役員は「中国は大きな市場規模があるため、欧米のメーカーも競って出てきており、今後も主戦場になる。中国は高級品を好むため高付加価値商品を販売しており、利益が出やすい構造になっている。ハイレンジ商品のトップ10%の市場のうち3割近くのシェアを持っている」と中国市場の重要性を指摘する。

 中国には衛生陶器の現地メーカーは多く存在するが、高付加価値、特に水回りの技術を搭載した商品を生み出せるメーカーが少ないこともあって、TOTOが優位に立っている。現在、中国全土には衛生陶器の工場が4か所あり、販売する商品の大半を現地生産している。陶器は重くてかさばるため、消費地に近い工場を生かして流通、地産地消の現地化を進めている。

 中国では主要都市ではウォシュレットを取り付けてくれるネットワークができているため「中国人が日本に旅行して、ウォシュレットを買って帰っても、TOTOの販売店に頼めば取り付けてくれる。こうした地道な努力を重ねることにより徐々に普及してきている」と話す。

 日本で普及したときは一般家庭から広がったが、中国の場合はホテルなどから住宅に向かう日本と逆方向の流れで浸透してきている。大都市圏では高級マンションでは設置するところも出ているが、内陸部は手が付けられていない状況で未開拓の地域は伸びる余地は大きい。

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