WEDGE REPORT

2016年12月29日

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 ブルドーザーなど建機メーカー、コマツがIT技術を駆使したスマートコンストラクションを建設現場に広めようとしている。日本記者クラブで講演したコマツ執行役員の四家千佳史(しけ・ちかし)スマートコンストラクション本部長は「2025年までには建設技能労働者の4割が離職し、130万人もの人出が不足する。この課題を解消するには労働者全員の生産性を上げるしか解決策がない。そのためにはブルドーザーなどの建機とITをつなげるスマートコンストラクションを使って工事を施工することが効率化に役立っている」と指摘、この手法が建設現場の人出不足解消の切り札になるとの見方を示した。

作業時間を半分に短縮

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 日本の建設現場は2011年以降の東日本大震災後の復興需要、さらには20年の東京オリンピック開催に向けて大型工事が目白押しで、建設作業員不足が深刻化している。外国人技能研修性などを使って何とか工事をこなしているのが実態で、工事の効率化は請け負った業者の最大の課題になっている。

 この絶対的な人出不足の環境の下で、コマツはGPSなどを活用したICT建機を使って施行を行い、監督、検査、維持管理という生産工程の流れをインターネットなどの情報通信技術を使って生産工程全体の生産性や品質の向上を図れるスマートコンストラクションを開発した。これを13年以降に日本だけでなく、北米、欧州、オーストラリアなどの現場に導入した。このシステムを使えば、ブルドーザーの位置を数㍍単位で割り出すことができ、3次元の図面によりプラスマイナス3㌢の精度で地面を整地できる。作業を自動制御で行うため、オペレーションを簡素化することができ、「作業時間を半分にできた現場もある」と話す。

 これに時間軸を加え、ドローンが測量したデータなども取り込んで、すべての作業を「見える化」したのがスマートコンストラクションだ。航空測量による3次元測量により、盛り土する量やのり面を削る量などを数値化し、その工事を進めるためにはダンプカー何台分に相当するかなどを瞬時にはじき出し、効率的な作業ができるのが最大のメリットで、15年2月に発表した。

 ドローンを飛ばして上空から測量することで、これまでの測量と比べて正確で緻密な測量が可能になった。従来の方法で測量して、ドローンで測量をやり直したところ、3500立法㍍、大型ダンプトラック600台分の誤差があることが分かった事例があったという。四家本部長は「工事の現場は予定通りには進まない不確実性の塊だが、スマートコンストラクションで事前に違いが分かっていることが、工事を進める上で重要なことだ」と強調する。

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