ルポ・少年院の子どもたち

2017年3月28日

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 「ルポ・少年院の子どもたち」では、不定期ながら2012年の夏から茨城県の少年院「水府学院」の取材をスタートした。水府学院は2015年に施行された少年院法において、第1種少年院で社会適応課程Ⅰに指定され、標準的な教育期間は11カ月とされている少年施設である。

 社会適応課程Ⅰとは、義務教育を修了した者のうち、就労上、修学上、生活環境の調整上等、社会適応上の問題がある者を対象とし、社会適応を円滑に進めるための各種の指導を行うとされている。

水府学院

 前回紹介した千葉県の少年院「市原学園」との違いは、市原学園が早期改善の可能性が高い者を対象とする短期処遇(6カ月以内)を行う施設であるのに対し、水府学院は長期処遇(2年以内)を行う施設という点であり、また市原学園は18~19歳を主な対象としている一方、水府学院は15~17歳を主な対象にしているという違いもある。

 水府学院には関東甲信越に静岡県を加えた地域の少年たちが在院しているが、少年犯罪者数の減少を受け、水府学院の1年間に新たに入院する人数もこの10年間で半数以下に減少している。

 少年院では個人別矯正教育計画として一人につき一つの教育プランが組まれ、少年ごとにどこに問題点があり、その問題点に対しどのような内容の教育を受けさせるかが議論され11カ月間の基本計画が立てられる。したがって在院生が50人いれば、50通りの教育プランが個別に動いているということだ。

 11カ月収容されれば自動的に出院できるというものではなく、3級、2級、1級と進級し、その結果出院するということである。

 その進級に際しては、毎月全職員で少年一人ひとりに対して、項目それぞれに5段階評価を行い、全ての項目で規定以上の成績を修めなければ、次の段階には進めないシステムになっている。

 聞くところによると水府学院の標準的な教育期間は11カ月間とされているが、平均的な在院期間は12カ月程度だそうだ。

 水府学院では近年在院中に勉強して、高卒認定試験を受けるケースが増えてきている。これは以前に比べて復学や進学希望が増えてきたことを物語っている。

 2015年の少年院法の改正により、水府学院では職業指導の内容も変更されてクレーンやユンボなど重機の資格取得からコンピュータサービス技能試験などの資格取得に向けた時間が増えている。

 こうして少年たちの円滑な社会復帰を目指し、少年院では様々な教育プログラムに取り組んでいる。その任に当たっているのが法務教官である。

 今回は水府学院の中村豪男法務教官にお話を伺った。

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