ネット炎上のかけらを拾いに

2017年3月31日

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 加害行為は強弱のある関係の中で起こる。しかし性的な暴力の場合、なぜか「強弱」関係を無視して語る人が多い。

父のボディータッチは「愛情表現」?

iStock

 3月22日に読売新聞に掲載された人生相談の内容が、ツイッター上で大きな議論となった。タイトルは「女子中学生 父が気持ち悪い」。タイトルだけ読むと思春期によくあると言われる父娘の距離感のようだが、実際の相談内容は深刻だった。父親は相談者と妹の二の腕や尻を触る「ボディータッチ」を行い、やめてほしいと頼んでも「愛情表現」「(親子で会話するための)話題作り」と言われる。母が注意しても逆ギレして物を投げるし、日曜は朝から酒を飲んでいる……。相談は「これから先、どう向き合っていけばいいかわかりません」と結ばれていた。

 この相談に対し、女性弁護士の回答は「思春期の娘と父親の関係は難しいですね」と始まる。まずは、「お父さんのボディータッチは許されません」「親が子にわいせつな行為をした場合は、児童相談所が調査して(中略)法的な措置をとることができます」と書き、ボディータッチがひどければ母親と一緒に児童相談所へ行くことを勧めている。

 しかし、ツイッター上で議論の的となったのは、ここから先の部分だ。弁護士は「ただ、その前に、お父さんの気持ちも考えてみることはできませんか?」と続け、家族のために朝早くから働いている父は、きっとさみしいのだと推測する。最終的な回答としては「家族全員で、お酒は朝から飲まない、セクハラはしないなど、ルールを話し合ったらいかがですか。法的な救済を求めるのは、それからでも遅くないでしょう」と締めている。

 ツイッター上では、この父親の行為は性的虐待に当たり海外では通報される事案であるという指摘や、「お父さんの気持ちもわかって」という回答が「絶望的」だというコメントもあった。筆者も、ボディータッチが論外であるのはもちろんのこと、父親が話し合いに応じてくれないと訴えている子どもに対して、「ルールを話し合ったら」と勧める回答には違和感があった。注意には逆ギレし、休みの日に朝から酒を飲む父親を話し合いの席につかせることが女子中学生とその母親にできるのだろうか。

 この件と似た騒動は去年の夏にもあった。朝日新聞の悩み相談での、タレント壇蜜の回答だ。同級生から毎日のように「パンツ見せて」「ブラジャー何色?」と聞かれ困っている女子中学生からの相談に対し、壇蜜は「思いきってその手をぎゅっと握り『好きな人にしか見せないし触らせないの。ごめんね』とかすかに微笑んでみてはどうでしょうか」と回答した。

 この回答については批判も多かったが、「さすが壇蜜」という称賛の声も多かった。称賛した人の中には、真っ向から「やめて」と言ってもやめない男には、こういう“手管”を選ぶのがいいのだという意見もあった。なるほど、日本では女子中学生が性加害を受けたとき、水商売風のテクニックを使って回避することが推奨されるらしい。

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