WEDGE REPORT

2017年4月13日

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崔 碩栄 (チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

不都合な真実――戦後日本から渡ってきた多くの日本産桜
在日韓国人達が寄贈した数万株の桜が半島全域に広がっている

 もう一つ、桜に関して韓国人たちが目を背けている事実がある。現在、韓国で咲いている桜の多くは戦後、在日韓国人達によって贈られた、「日本産」の桜であるという点だ。1950年に起きた朝鮮戦争のため荒廃した祖国の山林を蘇らせようと、日本にいた同胞たちがたくさんの木を寄贈したのだが、その中でも数多く贈られたのが桜だったのだ。ここは想像でしかないが、おそらく、日本で見た美しい花を祖国の人々にもみせてあげたいと願ったのではないだろうか。

 在日韓国人による桜の木の寄贈については、古い新聞の記事などから相当数確認することができる。1963年に民団東京商工会の許弼奭氏らが寄贈した日本産桜が7000株、1966年に片スゲ氏が鎮海に1万株、1971年民団埼玉県西部支部の李載東氏らがソウル市に2000株など、大量の桜が日本から韓国に渡っている。1960年以降に在日韓国人達によって寄贈された桜は6万株に達するという。そして、これらの桜の木が植えられた場所の多くは今、桜の名所となっている。

 だが、今この桜の下で花見を楽しむ韓国人の多くはこの事実を知らずにいる。桜の名所を紹介する案内書をみても、在日韓国人たちの功績を認め、感謝の意を表すような解説を寄せている自治体はどこにもないからだ。

 数万株の桜が戦後日本から韓国に渡り植樹され、そのおかげで現在、韓国人たちが桜を楽しんでいるという事実は、桜の原産地が韓国だと主張する韓国の立場から見ると、「不都合な真実」に他ならない。

 少し話が飛ぶが、壬辰倭乱つまり、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に、朝鮮の陶工が数多く日本に捕虜として連行された。しかし、彼らのうちの相当数は終戦後、韓国側の捕虜と交換に半島に帰れることになったのだが、朝鮮へ帰国を拒否し、日本に残り陶工として根をおろした。商人や職人を蔑視する朝鮮とは異なり、日本では技術と努力に対し正当な評価が受けられたためだという。

 私は、毎年春になれば、韓国が桜の原産地論争を持ち出すのを見るたびに、この陶工たちの話を思い出す。「原産地」や「起源」よりも、その対象を認め、評価し、愛してきたのかということの方が、よほど重要な問題に思えてならないからだ。植物のDNA検査の結果を持ち出して「所属」を主張することで、一体何が得られるというのだろうか?

  
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