東大教授 浜野保樹のメディア対談録

2010年6月24日

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浜野保樹 (はまの・やすき)

東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

1951年生まれ。工学博士。コンテンツ産業や制作に関する研究開発に従事する。主な著書に『大系 黒澤明』(講談社)『偽りの民主主義』(角川書店)『表現のビジネス』(東京大学出版会)などがある。(財)黒澤明文化振興財団理事、文化庁メディア芸術祭運営委員ほか。

前回の内容 TVCMが光り輝いていた頃 
中島 実際映像制作のセンスとか、そういったものについては僕よりはるかに優れている人がいっぱいいるわけです。だったら最初はかわいがられなしゃあないやん。――でしょ。

 愛されるためには愛さなあかんしね。どうやったら愛されるんやろって、そればっかり。それしか物差しがなかったですから。

編集部 そのころ自分に課された習慣で、その後ずっと大事にされているものってありますか。

とにかく仕事を早くする

中島 広告作りについて回るのがタレントさんとの付き合いなんです。どうやったらタレントさんに気に入ってもらえるかと考えて、ずーっと必ずやり続けていることというのが、ともかく仕事を早く終える。早く終わって悲しまれたことはまずありませんね(笑)。 

 26年やってますけど、予定が早く終わってガッカリって人、全然いない。たまにキョトンとする人はいますけどね。

 早く終えるには、タレントさんの納得を得るのが一番で、それには撮り直ししないといけない理由をきちんと言うってことです。

 若い頃外国で海外のタレントさん使う仕事の補助に入ったりした時にね、すみません、もう1回テイク(撮影・録音)やらせてください、ってそのタレントに僕が伝えたとしますよね。

 日本でだったら「ちょっといまイチなんで」とか、理由にならない理由で押し切れるわけですけど、外国だと「なぜなの、どうしてもう1回必要なの」と、必ず理由を聞いてきます。シュワルツェネッガーももちろん尋ねましたよね、で、そんなとき、僕は嘘でもいから説明らしい説明できるようになってなきゃいけないってことです。

 「今ね、実はあなた、まばたきしたんだよ」って言ったら、先方はそれで納得、「OK」ですよ。その場ではっきりreason whyを言いつつ進めていく。そういう習慣がアメリカだとまず土台のところにありますが、実は日本の役者さんでも一緒なんです。はっきりと「今の駄目でした。ここ駄目でした」と言うことですね。そして、早く切り上げる。

 とんねるずが一番売れていたときなんですけども、拘束時間がわずかに2時間という縛りの中、違うバリエーションを6通りぐらい作らないといけないって難題を、僕、クリアさせたんです。

 クリアしただけじゃなくて、時間を余らせた。「ようし、時間、余りましたね、ありがとうございます」って僕が言ったら、それまで僕のことを認知してなかったとんねるずの2人が、次からは「あの人、良かったから、おんなじ人でお願いします」って、リピーターになってくれたわけです。

 早く終わる、ってことは、迷わない。そのため必要なのは、自分の即断・即決ですけども、当然スタッフの力です。僕のことを助けてくれる人たちですね。

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