東大教授 浜野保樹のメディア対談録

2010年6月22日

»著者プロフィール
著者
閉じる

浜野保樹 (はまの・やすき)

東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

1951年生まれ。工学博士。コンテンツ産業や制作に関する研究開発に従事する。主な著書に『大系 黒澤明』(講談社)『偽りの民主主義』(角川書店)『表現のビジネス』(東京大学出版会)などがある。(財)黒澤明文化振興財団理事、文化庁メディア芸術祭運営委員ほか。

 メディアの巨匠と気鋭たちに、浜野保樹さんが会いに行くシリーズの第4弾。今回の対談相手は現代日本を代表するテレビCMの作り手・中島信也さんだ。

 日清カップヌードルの「hungry?」、ホンダ、ステップワゴンの「こどもといっしょにどこいこう。」、本木雅弘と宮沢りえが演じる時代劇風の「伊右衛門」(サントリー)など、「ああ、あの」と誰もが思い出す名CMの数々を世に送り出してきた。

「伊右衛門(茶農家篇)」サントリー

 武蔵野美術大学を出て東北新社に入社し、以来同社一筋で26年という中島氏。「サラリーマン」と「創造力」という、本来結合しないはずの両極が結びついた稀有な実例でもある。

 その枯れないイマジネーションはどこから来るのか? メディアが土台から激変するいま、CMはどう変わり、あるいは変わらないのか。浜野さんが口火を切る。

(司会・構成=谷口智彦 明治大学国際日本学部客員教授)

浜野 僕、中島さんにお願いしたいと思ったのは、今、インターネットや電子出版の登場・普及とともにメディアが大きく変わっている、この状況をどう見ておられるかです。

 これまでの広告媒体というと、俗に「4マス」という、新聞、雑誌、テレビにラジオの4大マス媒体が主流だったでしょう。でもそこでの広告収入が5年連続落ちている。こんな状況で、広告は先行きどうなるのか。我々を取り巻くメディア環境それ自体の激変でもあるわけだから、CMも影響を受けないわけはない。まずはそこから中島さんにお聞きしたいのです。

「4マス」の衰退、ネットの台頭

 ここで中島さんがとても適任だと思うのは、ご自身クリエイターであり、経営者でもある。――この、「経営者でもある」というところから、インターネットの広告が4マスのラジオを抜き、雑誌を凌駕して、とうとう新聞広告を追い抜いてしまったという状況をどう見ておられるか、お話いただけますか。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る