韓国の「読み方」

2017年5月8日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、前ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15年5月から論説委員。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著『LIVE講義 北朝鮮入門』(10年、東洋経済新報社)を大幅に改訂した『新版 北朝鮮入門』(東洋経済新報社)を17年1月に刊行予定。

 9日の韓国大統領選は、進歩派(革新)である最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏が優勢のまま最終盤を迎えた。3月末から4月上旬に支持率を急速に上げた中道系「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)氏はテレビ討論の失敗で失速し、代わりに、文氏を北朝鮮に融和的だと攻撃する保守「自由韓国党(旧セヌリ党)」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏が急速に追い上げる。「文在寅に勝てる候補」を求めて安氏に流れた保守派が、安氏を見限って保守候補に回帰しているのだ。

 一方で最左派「正義党」の沈相奵(シム・サンジョン)氏も支持を伸ばしており、10%台の得票をうかがうのではないかという見方が強まっている。こちらは、「勝てる候補」として文氏に集まっていた左派票が「どうせ文氏の勝ちだ」と考えて沈氏に戻った模様だ。文氏陣営は「高い得票率で当選してこそ国政運営をきちんとできる」と防戦に努めている。

 結局、文氏の優勢は変わらないものの、安氏が沈み、左右両極の候補がそれぞれ支持を伸ばすというのが選挙戦最終盤の構図だ。今回は、優勢を保ったまま最終盤にきた文氏の人物像を紹介したい。

大統領選で優勢、文在寅氏とはどのような人物か
(写真:AP/アフロ)

「盧武鉉の影法師」

 メディアに付けられたニックネームの中で文在寅氏自身がもっとも気に入っているのは「盧武鉉の影法師」だそうだ。盧武鉉元大統領が政権の座にあった間、最側近として常に脇を固めていたとして付けられたニックネームだ。

 文氏が政界入りする直前だった2012年1月に当時人気のあったバラエティ番組に出演して、そう語っている。各界で注目される人物を呼んで硬軟取り混ぜた対談で人物像を描く番組で、前週の出演者は与党の大統領候補になることが有力視されていた朴槿恵氏だった。野党で朴氏に対抗しうる人物として登場したのだが、文氏はまだ国会議員にもなっていなかった。文氏が初めて議員バッジを付けたのは同年4月の総選挙で初当選してからである。

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