韓国の「読み方」

2017年2月28日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、前ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15年5月から論説委員。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著『LIVE講義 北朝鮮入門』(10年、東洋経済新報社)を大幅に改訂した『新版 北朝鮮入門』(東洋経済新報社)を17年1月に刊行予定。

 金正男氏殺害事件をきっかけに、北朝鮮と東南アジア諸国との外交関係が注目されている。日本では「孤立」イメージの強い北朝鮮外交だが、韓国政府によると、2014年時点で国交を持つ国は160に上る。中国と台湾のように事実上どちらかを選ぶよう相手国に迫っているわけではないので、韓国と北朝鮮の両方と国交を結んでいる国が多いのである。

 平壌に大使館を置いている国は24カ国。旧東側ブロックが多いが、マレーシアも大使館を持つ国の一つだ。マレーシアは主要国で唯一、北朝鮮旅券の保持者に査証(ビザ)なしの入国を認めてもいる。東南アジアではシンガポールもビザなし入国を認めていたが、2016年に取り消した。

 北朝鮮の国家機関による犯行だとすれば、マレーシアの主権に対する明白な侵害となる。首都の国際空港という玄関口でこんな事件を起こされたマレーシアが激怒するのは当然で、自国民が容疑者として逮捕されたインドネシアも「北朝鮮の工作員に取り込まれた」と怒っている。今回の事件が、これまで良好だった北朝鮮と東南アジアの関係に与える影響は重大だろう。

事件が起きたマレーシアのクアラルンプール国際空港(写真:ロイター/アフロ)

 韓国の民間シンクタンク・峨山(アサン)政策研究院は事件を受けて、「北朝鮮と東南アジア」というリポートを出した(韓国語版のみ)。歴史的な背景をおさらいするとともに、インドネシアのスカルノ教育財団がなんと「平和と正義、人道」の賞を北朝鮮の金正恩氏に贈っていたなどという興味深い事例が紹介されている。今回は、このリポートなどを参考に北朝鮮と東南アジアの関係について整理してみたい。

韓国人も驚く「北朝鮮と東南アジア」の緊密さ

 リポートで興味深いのは「韓国と東南アジアの緊密な経済、社会文化関係によって、東南アジアにおける北朝鮮の立地がなくなっていると考えるなら大間違い」と注意喚起をしていることだ。

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