韓国の「読み方」

2016年6月29日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、前ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15年5月から論説委員。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著『LIVE講義 北朝鮮入門』(10年、東洋経済新報社)を大幅に改訂した『新版 北朝鮮入門』(東洋経済新報社)を17年1月に刊行予定。

 北朝鮮が6月22日に新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」2発を発射した。1発は高度1000キロ超の大気圏外に達し、発射地点から約400キロ離れた日本海上に落下した。

 長年の経済制裁や国際的孤立にもかかわらず、北朝鮮の核・ミサイル開発は着実に進展している。当初は安定性を疑問視された金正恩体制も、専門家の間では「権力の掌握が進んで安定してきている」という評価が一般的だ。6月29日の最高人民会議(国会)では、金正恩氏が国家を代表するポストとして新設された国務委員長となった。これで、党と国家の両方で新設の肩書きを持つトップとなったことになる。北朝鮮としては独裁体制の整備に一区切りが付いたということになりそうだ。

 金正恩朝鮮労働党委員長は、なかなかのやり手かもしれない。中距離弾道ミサイルの発射に成功したとする北朝鮮国営メディアの報道を見ていると、そんな気がしてくる。少なくとも金正恩氏は、仕事に失敗した部下をすぐに切り捨てるようなことはしないようだ。ミサイル関連の北朝鮮メディアの報道からは、そう読み取れる。

 もちろん異論はあるだろう。血が直接つながっていないとは言え、叔父を処刑するなど、権力のためには流血をもいとわない冷酷な人物だ。国民生活より特権階級を守るための体制生き残りを至上命題とする独裁者でもある。

 なにより「世襲の三代目」だ。夫人を連れて遊園地を視察したり、取り巻きに囲まれてミサイル発射の「成功」を大喜びしたりする姿や、節制という言葉とは縁が遠そうな容貌を見ていると、まさに「身上をつぶす若旦那」という印象を受ける。せっかちで、子供じみた自己顕示欲の強さを感じることもある。

 だが、こうしたネガティブな面があるから「無能だ」ということにはならない。父親である金正日総書記も、同じようなイメージを持たれることが少なくなかったが、実際には「冷酷だが有能な独裁者」だった。息子がその資質を継いでいても何ら不思議はないのである。

金正恩氏(KCNA/新華社/アフロ )

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