チャイナ・ウォッチャーの視点

2010年7月21日

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 中国国家統計局は7月15日、今年上半期の中国経済の実績に関する諸数値を発表した。それによると、上半期(1月~6月)の国内総生産(GDP)の伸び率は11.1%で、依然として高い成長率を維持しているが、第2四半期(4月~6月)の国内総生産伸び率は前年比10.3%で、第1四半期の11.9%から鈍化した。鉱工業生産の伸び率も前年比13.7%と、5月の16.5%から減速し、予想の15.3%を大きく下回ったという。

 この一連の数値から、中国経済の現状をどう捉えるのかは意見の分かれるところとなっている。「上半期に2ケタ成長維持」を根拠にして「中国経済は吉」と認定する人は大勢いるようだが、筆者はむしろ、「凶」であると判断したいところである。

 というのも、第2四半期における成長率の鈍化と連動して、今年の4月当たりから、中国経済のあらゆる面から、まさに「凶兆」ともいうべき一連の異変が生じてきたからである。

中国経済の「凶兆」

 まず注目すべきなのは、2010年に入ってからの株式市場の低迷である。年初には3300ポイント台であった上海指数は、この原稿を書いている7月21日朝の時点ではすでに2528ポイントに下がってしまい、2割以上の大幅な下落となった。

 09年に米国を抜いて世界一となった中国の自動車市場にも翳りが見え始めた。今年の4月における全国の自動車生産量と販売台数は前月比でそれぞれ9.85%減と10.37%減となった。5月になると、その減少幅は14.36%減と13.95%減へと拡大した。6月にも販売台数は前月比5.25%減で、減少傾向が続いている。

 不動産バブルの崩壊も進行中である。今年の4月中旬、中国政府が「3軒目の物件購入への住宅ローンの停止」を柱とする不動産投機抑制策を打ち出して以来、全国の不動産市場は急速に冷え込んだ。5月には、国内主要都市の不動産成約面積は前月比で44.18%減少し、うち北京、上海、杭州、南京の成約面積は史上最低水準に縮小した。

 6月になると、全国のあちこちの不動産市場で前代未聞の「ゼロ成約」現象が起きてしまい、不動産市場は超氷河期に入った。

 こうした中で、北京の不動産価格は20%程度、深圳の不動産価格は40%程度下落したとの報告がある一方、「今後3カ月以内に中国の不動産価格は40%~50%下落する」との予測が国内から出されている。

秒読み段階に入った不動産バブルの崩壊

 中国における不動産バブルの崩壊は秒読み段階に入っている様相である。

 それと同時進行的に、本格的なインフレ発生の危険性も迫ってきている。去年の11月に0.6%の低水準に止まった消費者物価指数は、今年の4月に2.8%に上昇し、5月にはとうとう、中国政府の設定した「インフレ警戒線」の3%を越えて3.1%となった。6月には多少下がったものの、折からの大水害発生が原因で、7月に入ってからは物価の上昇はふたたび始まり、インフレの懸念が依然として高い。

 このように、中国のさらなる「繁栄と発展」の起点となるはずの上海万博の開催を前後にして、中国経済はむしろさまざまなボロをいっせいに出して風雲急を告げるような重大な局面となった模様である。

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