世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月16日

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 ワシントン・ポスト紙コラムニストのイグネイシャスが、5月16日付の同紙で、トランプと情報機関の確執を取り上げ、トランプ政権の綻びが始まっていると書いています。論説の要旨は、次の通りです。

(iStock)

 情報機関のコミュニティーが有する脆弱な秘密のネットワークを瀬戸物屋、そしてトランプを情緒不安定で躾のなってない雄牛と見立てて欲しい。数カ月にわたり、我々はこの両者の破滅的な衝突を見せられて来た。

 最も新しいスキャンダルは携帯パソコンに仕込んだ爆弾によるIS(イスラム国)の航空機上のテロの脅威に関する秘密情報をトランプが自慢気にラブロフ外相に漏らしたというものである。愚かで無謀な行動である。続いて、去る2月、トランプがコミーFBI長官に対し、解任したばかりのフリン補佐官に対する捜査を止めるよう要請したことが明らかになった。

 これはホラー映画である。マクマスター補佐官は、大統領の行動は「全く問題ない」と述べてトランプの弁護に悪戦苦闘した。もし、問題がないなら、どうしてボサート補佐官がCIAとNSAの長官に電話してトランプがラブロフらに喋ったことを警告せねばならなかったのか。大統領には発言要領が必要で、トランプのような経験がなく衝動的な人間が即席でやろうとすると混乱にはまる。Lawfareという公正なサイトは、トランプは「大統領職を誠実に執行する」という宣誓に違反したのではないかという問題を提起している。これはトランプが弾劾されるべきかどうかを上品に問うたものに他ならない。

 トランプに対する信頼性は綻びつつある。彼は情報機関と法執行機関の職員をいじめると思えばおだてようとした。ロシアの選挙介入疑惑をでっち上げだといった。情報機関の職員をナチになぞらえたこともある。CIAを訪問した時は彼等を英雄だといった。FBI長官には忠誠を要求し、拒否されると解任した。

 大統領は誰しも有害な情報漏えいや情報関係の問題に遭遇する。カーターの時にはヨルダンのフセイン国王がCIAにカネを貰っているという話が出た。ブッシュの時には「9.11」およびイラクの大量破壊兵器の評価に係わる最悪のインテリジェンスの失敗に遭遇した。オバマの時にはアラビア半島のアルカイダに対する英国とサウジの秘密工作に係る報道の扱いで不手際を演じた。

 しかし、トランプの場合の違いは、トランプは、情報機関が味方なのか敵なのかについて確信が持てないように見えることである。トランプは彼の正統性に対する挑戦だと思うとCIAとFBIの長官を攻撃する。ところが、ラブロフらに対しては凄いインテリジェンスを持っているだろうと自慢する。情報機関との愛憎関係は変わる必要がある。それは政府の品位を貶めるばかりでなく、自己破壊的である。インテリジェンスの関係は信頼の上に成立する。大統領の成功もまた信頼の上に成立する。雄牛は瀬戸物屋から出て行く必要がある。

出 典:David Ignatius ‘Trump's presidency is beginning to unravel’ (Washington Post, May 16, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/trumps-presidency-is-beginning-to-unravel/2017/05/16/e27aa366-3a7a-11e7-8854-21f359183e8c_story.html

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