WEDGE REPORT

2017年6月29日

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 人手不足で売り手市場となった今年の就職活動。リクルートワークス研究所(東京都中央区)によれば、2018年春卒業予定の大学生の求人倍率は1・78倍であり、09年卒採用以来の高水準だ。それに伴い、18年春卒業予定の大学生の6月1日時点の就職内定率(速報値)は61%で前年同期より9・7ポイント高く(リクルートキャリア調べ)、企業による学生の早期の囲い込みが顕著になっている。

 早く優秀な学生を囲みたいという企業の焦りが伺えるが、優秀な学生を本気で採ろうとする企業は、採用時期を早めるだけではない別の手を打っている。

新卒社員に年収1000万円以上払う決意はあるか

 急速なITやAI(人工知能)の進化で需要が高まるソフトウェア人材の奪い合いが激しさを増す。彼らを求める代表的な事業が「自動運転」の開発だ。AIの深層学習(ディープラーニング)を用いた走行アルゴリズムの開発などには米シリコンバレーでも通用するような高度人材、学生の獲得が不可欠となる。

 自動運転開発ベンチャーのティアフォー(愛知県名古屋市)では、能力が突出して高い人材に対しては、新卒であっても1000万円以上の給与体系になっているという。「アップルやグーグルに代表されるような米シリコンバレー企業では、新卒社員に1500万円を超える給与を支払うのが当然だ。採用したい人材が会社に求める価値は金銭のみに限らないが、最低ラインを出すことは必要だ」(同社役員)。

 人材をそろえなければ日本企業が海外企業と伍して戦うことは難しい。ソニーで人事部門長を勤め、現在は人材育成を手がけるインディゴブルー(東京都港区)の寺川尚人社長は、「優秀で高い志を持った人材は、尊敬できる人物とともに仕事をすることで大きな化学反応や融合が生じることを経験で理解している。誰と働きたいかという魅力が非常に重要」と、給与以外の「会社の価値」について語る。「トヨタ自動車がAI研究開発子会社のTRIにCEOとしてAI研究の第一人者であるギル・プラット氏を招いたが、そこには、彼と一緒に働けるという魅力で優秀な技術者を集める目的もあるだろう」。

(写真・iStock.com/TAGSTOCK1

もったいない 見逃される優秀人材

 こうした超高度人材にとどまらず、優秀な学生を採用するチャンスを企業がみすみす逃しているケースもある。採用のデータベース管理などを行うイグナイトアイ(東京都港区)の吉田崇社長は「理系ニーズが年々高まる中で、機械、電機系の学生の数が少なく採用が難しいという声を聞くが、就職先が幅広いのにそれを学生が知らないというケースが多い。企業側からそういった学生にアプローチすれば採用できる人材は多くいるだろう」と指摘する。

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