夢みるチョコレート工房
― 働く喜びをつくるということ
伊藤紀幸 著
第9回「日本でいちばん大切にしたい会社 大賞実行委員会特別賞」を受賞
不動産評価ビジネス分野で実績を上げていた著者・伊藤紀幸さんの人生は、30歳のとき、知的障がいを持つ息子を授かったことで大きく変わり始めました。日本での知的障がい者の賃金があまりに安いことを知った伊藤さんは、その将来を案じ、ならば知的障害者が働き、もっと稼ぐことのできる場を作ろうと、紆余曲折の末に、2012年、チョコレート工房「ショコラボ」を開業しました。いまやショコラボは、デパートのバレンタイン催事等でも人気のチョコレート工房に成長しています。
本書は、横浜市にある小さなチョコレート工房「ショコラボ」の愛があふれる起業ストーリーをまとめた1冊です。親子の愛、障がい者福祉、起業の面白さ、経営することの難しさやワクワク感、モノづくりの喜びなど、さまざまなテーマがぎゅっと詰まっています。
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<書籍データ>
◇四六判並製 188ページ
◇定価:本体1,400円+税
◇発売日:2018年2月9日
◇ISBN:978-4-86310-195-1
<著者プロフィール>
一般社団法人AOH代表理事。1965年生まれ。
大学卒業後は金融畑を歩むも、30歳の時に障がいを持つ息子を授かり、障がい者が働ける会社の起業を決心して脱サラ。構想から10年、2012年9月一般社団法人AOHを設立する。同年11月障がい者の雇用の場の創出と工賃アップを目指し、就労移行支援施設「ショコラボ」を開設。2015年5月継続支援B型も増設。ショコラボ創設の起業ストーリーが様々な方面から賛同・共感を得て、好循環の波動を起こしながら、次の一歩を歩み続けているソーシャルビジネスの経営者。
<立ち読み>
あとがき
(プロローグ 幸せのチョコレート より)
夢が詰まったチョコレート工房「CHOCOLABO」。
2012年11月、障がい者たちが働く福祉事業所としては全国初のチョコレート工房が、横浜市で産声をあげた。
フランス語でチョコレートをショコラと呼ぶが、工房名「ショコラボ」には二つの意味が込められている。
一つ目は、ショコラのラボラトリー(工房)。二つ目は、健常者・障がい者・プロフェッショナルとのコラボレーションという意味である。
私がショコラボを立ち上げたのは、息子が障がい児として生まれてきたことがキッカケだ。生まれた当初は、駆け出しの父親としてその事実に苦悩し落胆したが、嘆き憂いていても何も事実は変わらないと自身に冷静さと平常心を求めた。私も妻も生来の明るく前向きに物事を捉える性格が奏功し、妻をはじめ家族の温かい見守りの中、自分を鼓舞してとにかく前だけを見て生きてきた。小学部・中学部の頃までは、普通のお子さんのように育ってほしいと願い、健常者に少しでも追いつかないかと不安と期待が入り交じる毎日を送った。中学生後半に差し掛かると、次第に現実を受け入れることができるようになり、前進していく術が少しずつ身に付いていった。「運命的所与を受け入れて肯定的に解釈する」ということが身に染みていった。
構想10年で開業したショコラボだが、5年を経過した現在では総勢40名強の人々が工房で明るく元気に働いている。販売先も着実に広がり、①新幹線「新横浜駅」構内のデリカステーション(JR東海系直営店)、②近鉄百貨店・さくら野百貨店・阪急阪神百貨店・丸井・横浜高島屋・京急百貨店・都筑阪急デパ地下(相鉄ローゼン)をはじめとする有名百貨店、③フォレストイン昭和館・ホテルプラザオーサカ・TRUNK HOTEL・レンブラントホテル厚木などの有名ホテル、④東京ドームシティ 宇宙ミュージアムTeNQ売店・東急ハンズ横浜駅前店・高級スーパーマーケットチェーンである紀ノ國屋、横浜山手の西洋館・横浜博覧館・横浜大世界などさまざまなショップでも販売され、お陰様で常設販売店舗も14ヵ所にまで成長できた。
ショコラボで訓練をした障がい者も、十数名が世界的に有名なホテルのスイーツ部門を筆頭に、有力食品メーカー・市役所・病院等さまざまな職場で社員として就労している。就労支援をミッションとしているショコラボの特徴として挙げられるのが、就労後の高い定着率。ショコラボを卒業して就労したメンバーたちの「職場での定着率」は90%を優に超え極めて高い水準を誇っている。そして、個人・法人を問わずショコラボを応援してくださるファンのお陰で、初年度こそ赤字だったが、その後は4期連続黒字と業績も好調裡に推移している。(中略)
プロの技術指導のもと、美味しいスイーツ作りで障がい者の雇用の場を創出し、全国平均で障がい者の月額工賃が1万円台という厳しい現実を踏まえて工賃アップを実現する。それがショコラボのミッション。障がい者を英語でdisableと言うが、彼らは決してできないわけではない!!
ショコラボを通じてそれを証明していきたいと思っている。
ショコラボのスイーツを通じて、ワクワク感のある「夢」と「笑顔」をお届けしたいと思っている。(中略)
私は弱者保護という言葉を聞くと違和感を感じる。
障がい者を弱者とは呼ばない社会。私たちが目指すべきインクルーシブな社会とは、「弱者を思いやる社会」なのではなく、同じ目線で互いの強みを活かしながら、新しい価値を彼らと共に創造して真の意味で共存共栄・共生を目指す「弱者自体をつくらない社会」だと思う。出版に当たって、今までショコラボに関与してきてくれた方々にも感謝の意を表したい。未熟な私を見守り続けてくれ、ビジネス上の父と私が慕う株式会社CHARMY取締役会長・田中弘孝氏、日本地所株式会社代表取締役・故安藤晃氏、恩師でショコラボ理事の添田禮子氏、両親。そして、妻と息子にも。
プロローグ 幸せのチョコレート
第1章 息子との出会い
第2章 ショコラボの誕生
第3章 いよいよ、船出
第4章 ショコラボの楽しい日常
第5章 ショコラボが目指すもの
第6章 経営者としての学び
第7章 ダイバーシティ(多様性)を受け入れる社会づくり
エピローグ ――19年と364日間経って思うこと
あとがき
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