あくがれ

わが和泉式部

水原 紫苑
あくがれ
あくがれ
わが和泉式部
水原 紫苑

永遠の愛情を宿命づけられた、王朝随一の歌人・和泉式部の生涯――。 受領の娘として生まれ、同じく受領・橘道貞と結婚した和泉式部は、弾正宮為尊親王、その弟・帥宮敦通親王という身分違いの高貴な二人と恋に落ちる。そして、若くして二人と死別する。魂の「あくがれ」るまま、ただ一筋に追い求めた愛とそれゆえの孤独が切々と浮き彫りにされる。

定価:1,540円(税込み)
B6判並製、236頁
発売日:2012年 5月18日
ISBN:978-4863100978
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 平安朝中期、越前守・大江雅致の娘として生まれ、和泉守橘道貞と結婚した和泉式部は、夫のいる身で、冷泉院の第三皇子・為尊親王と身分違いの恋に落ちる。親王の病没後、あらがえぬ宿命に導かれるかのように、為尊親王の弟・敦道親王(帥宮)とも深い仲となる。
帥宮と和泉式部の「恋のゆくたて」は、「和泉式部日記」に物語風にしるされている。二人がかわした多数の和歌が、恋の駆け引きを華麗にいろどり、うつろいゆく心理を如実にうかがわせる。
和泉式部は、夫・橘道貞とのあいだに子(小式部内侍)をなしたが、道貞とは別れ、親にも勘当される。和泉式部は、やがて宮邸に召人として仕え、帥宮の側で暮らすことになる。帥宮とのあいだにも若君が生まれるが、帥宮も兄・為尊親王とおなじく若くしてこの世を去る。
和泉式部は、その恋愛遍歴から「浮かれ女」(藤原道長)、「けしからぬ」女(紫式部)と周りから評されたが、和歌の才能は当代随一を謳われ、勅撰和歌集に計246首の歌が採られた。
本書は、歌人水原紫苑が、和泉式部と帥宮との「はかない恋」に焦点を合わせ、和歌の解釈をまじえつつ、和泉の生涯をたどった書き下ろしの物語。引用歌は、約180首。

著者プロフィール
水原 紫苑 (みずはら しおん)

歌人。横浜市生まれ。早稲田大学仏文修士課程修了。一九八九年、第一歌集『びあんか』刊行。現代歌人協会賞受賞。第三歌集『客人(まらうど)』で第一回駿河梅花文学賞受賞。第四歌集『くわんおん(観音)』で第十回河野愛子賞、第七歌集『あかるたへ』で第五回山本健吉文学賞・第十回若山牧水賞を受賞。その他の歌集に『うたうら』『いろせ』『世阿弥の墓』『さくらさねさし』『武悪のひとへ』、エッセイ集に『京都うたものがたり』『歌舞伎ゆめがたり』、小説集『生き肌絶ち』など多数。春日井建に師事、師の没後単独で活動。日本の古典芸能に造詣が深く、自らも謡曲・仕舞を稽古する。

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