仏像に会う ー53の仏像の写真と物語
西山 厚
◎仏像は見るものではなく、出会うもの
2014年まで奈良国立博物館の学芸部長として、現在は仏教美術の名品を所蔵する半蔵門ミュージアムの館長として、多くの仏像・神像の展示に関わってきた著者。仏教美術史の専門家として、生きた言葉で仏像の魅力を語り続けています。
本書は、著者がこれまでに出会ったたくさんの仏像の中から、特に心に深く刻まれた53体を選び、その美しさを見事に切り取った仏像写真と共に紹介する仏像ガイドです。
仏像にはそれぞれ、作った人、守り伝えてきた人の願いが込められています。仏像一つ一つに込められた願いや、背景にある歴史物語を知ることで、仏像との本当の出会いが訪れることでしょう。また、仏像に魅せられた写真家たちの仏像愛あふれる写真でその素晴らしさを知ることができるのも、本書の魅力です。
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<書籍データ>
◇A5判並製 193ページ
◇定価:本体2,200円+税
◇発売日:2020年10月20日
◇ISBN:978-4-86310-228-6
<著者プロフィール>
西山 厚/
半蔵門ミュージアム館長、帝塚山大学客員教授、奈良国立博物館名誉館員。徳島県鳴門市生まれの伊勢育ち。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。奈良国立博物館で学芸部長として「女性と仏教」など数々の特別展を企画。主な編著書に『仏教発見! 』(講談社新書)、『僧侶の書』(至文堂)、『別冊太陽 東大寺』(平凡社)、『語りだす奈良 118の物語』『語りだす奈良 ふたたび』(共にウェッジ)など。奈良と仏教をメインテーマとして、人物に焦点をあてながら、さまざまなメディアで、生きた言葉で語り、書く活動を続けている。
<本書で紹介する仏像の例>
【薬師寺 薬師如来】奈良時代から病気平癒の願いを聞き届けてきた、白鳳美術の最高峰
【興福寺 阿修羅】子を亡くした光明皇后が作らせた、少年のような表情の八部衆
【東大寺 盧舎那仏】聖武天皇が民の力を集めて建立した大仏
【円成寺 大日如来】スーパーリアルに打ち込んだ、あの運慶のデビュー作
【秋篠寺 伎芸天】菩薩にも見まごう「東洋のミューズ」
【聖林寺 十一面観音】フェノロサ、白洲正子、和辻哲郎…あまたの美術史家や作家を虜にした優しい仏像
<立ち読み> 私は大学院に入ってから、仏教の歴史の勉強を始めた。学生時代は、室町時代の公家の 日記を読んでいた。そのまま就職しようかとも思っていたところ、鎌倉時代の明恵上人と 出会い、仏教のことをもっと勉強したくなって大学院へ進んだ。
私の大学には仏教史の先生がいなかったので、ほぼ独学だった。法然上人の研究をして いた先輩と二人だけの勉強会を始めたが、私のレベルが低すぎてついていけなかった。
明恵上人は、お釈迦さまを慕い、インドへ行こうとしたが果たせなかった人で、その代 わりにと言うとおこがましいが、明恵上人の肖像画のコピーを持って、インドの仏跡巡拝 に行ったこともあった。
そうこうしているうち︑奈良国立博物館からお話をいただいた。奈良国立博物館は正倉 院展で知られるが、本当は仏教美術の専門館である。仏像や仏画の勉強もしたいと思い始 めていた時期だった。当時は研究員の公募をしておらず、今のような選抜方式だったら、と ても入れなかったと思う。
奈良国立博物館にはいつも素晴らしい仏像があった。そして、さまざまなテーマの特別 展をするたびに、最高の仏像が集まって来た。次第に仏像に心ひかれるようになるととも に、仏像の写真にも興味をもつようになった。
しかし、好きな仏像の写真を見ても、いいなあと思うことは必ずしも多くはない。カメ ラの位置をもう少し下げて撮ってほしかったなあとか、もう少し右に回り込んで撮ってほ しかったなあとか、これは私が好きな仏像の本当の姿ではないぞ、などと思ってしまうこ とがよくある。その写真を撮った人と、美意識が違うのだろう。
<中略>
重要なのは写真だ。気に入った写真しか使いたくない。その仏像のよさが一番出ている (と私が思う)写真を使いたい。ところが、やがて、それが︑思いのほか難しいとわかった。
求めている写真をなかなか見つけることができない。そういう場合には、自分で撮った写 真も、遠慮しつつ、使わせてもらうことにした。
この本によって、仏像をもっと好きになり、仏像を大切に思ってくださる人や、仏像の 写真に興味をもち、その価値に気づいてくださる人が増えてくれたら、とてもうれしい。<本文「はじめに」より>
<目次> はじめに
*飛鳥白鳳時代
釈迦三尊像、菩薩半跏像 ほか
*奈良時代
八部衆立像、日光・月光菩薩立像 ほか
*平安時代
薬師如来立像、十一面観音立像 ほか
*鎌倉時代
大日如来坐像、阿弥陀三尊立像 ほか
【解説編】仏像の種類
おわりに
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