読むことで日々見聞きするメディア情報の見方が変わり、自分なりに掘り下げて考察するようになる。そんな本との出会いは、自分自身を意識から、習慣から変えてくれる可能性を秘めています。今回の特集で取り上げる書物の分野は多岐に渡り、内容はさまざまであっても、いずれもいまの日本と世界を知るうえで欠かせない要素であり、これからの日本が進むべき道の鍵を握っていると言えるでしょう。頭と心に働きかける7冊です。

1. ゲノム編集食品が変える食の未来

松永和紀

ゲノム編集食品が変える食の未来

2050年、100億人の食を支え期待される「ゲノム編集食品」。だが、誤解による感情的な反発も多い。技術革新の科学的な真実から食の未来を考える。

書籍詳細を見る

世界100億人の「食」を救う
最先端技術の全貌と食の未来

人口の増加、気候変動、パンデミックによる食糧事情の変化等に対応するため、食品に関して飛躍をもたらす重要なキーテクノロジーは遺伝子組み換えとゲノム編集。けれど両者の技術的な説明が困難なこともあり、誤った報道やネット情報が氾濫し、正確な情報が十分に吟味されぬまま一人歩きしてしまっています。その結果、市民・消費者は感覚的に拒絶反応してしまうという現状が。本書ではゲノムの編集技術を用いて品種改良された食品の安全性や意義について、科学ジャーナリスト賞受賞経験を持つ松永和紀さんがわかりやすく解説しています。

2. 総統と私 「アジアの哲人」李登輝の一番近くにいた日本人秘書の8年間

早川友久

総統とわたし

「アジアの哲人」李登輝の一番近くにいた日本人秘書の8年間

日本を思い台湾を愛した「元日本人」、李登輝の人間像に迫る

書籍詳細を見る

 

台湾発展に尽力し日本を愛した李登輝の実像に迫る

現在の自由で民主的な台湾への道のりを作った人物、それが李登輝です。84年に副総統となり、88年からは中華民国第4代総統として2000年まで12年間に渡りその任を務めました。本書は李登輝・台湾元総統を最も近くで見てきた日本人秘書、早川友久さんが共に過ごした最後の8年間について綴った書です。国家と国民のことを常に想い、また大の親日家で「私は22歳までは日本人だった」と語り、日本と台湾は運命共同体と考えていた李登輝。生い立ちや関連本も多く出版されています。しかしながら李登輝の言葉が正確かつ明確に理解され記されているものは少ないと語る著者が、その政治手腕、温かな素顔等…真の姿を伝えます。

3. なぜ日本の「正しさ」は世界に伝わらないのか

茉原響子

なぜ日本の「正しさ」は世界に伝わらないのか 日中韓 熾烈なイメージ戦

領土問題でも歴史認識を巡る問題でも、日本の「正しい」主張はなぜ伝わらないのか? 日本が採るべき戦略とは…。

書籍詳細を見る

各国が火花散らすイメージ戦略に日本はいかに戦っていくのか

近年、世界的にも政府の政策決定に果たす世論の役割が増大するなか、パブリック・ディプロマシーが外交手段としても重要視されてきています。パブリック・ディプロマシーとは「広報文化外交」あるいは「戦略的対外発信」と言われる活動のこと。国際社会、とりわけ米国では、中国や韓国が、領土問題や歴史認識を題材に活発な広報活動や反日ロビー活動といったパブリック・ディプロマシーを展開しており、国際社会における日本の立場を揺るがすような影響力を持ち始めています。こうした背景において、日本が採るべき戦略とは…。国際問題の鋭い切込みに定評がある、茉原(くわはら)響子さんが考察する現代の重要課題です。

4. 逆さ地図で解き明かす新世界情勢 東アジア安保危機と令和日本の選択

松本利秋

逆さ地図で解き明かす新世界情勢
東アジア安保危機と令和日本の選択

「逆さ地図」が示す令和日本が生き残る知恵。 2020年の大局を読む!新視点の地政学で描く12のシナリオ。 【巻頭カラー】目からウロコの「逆さ地図」収録!

書籍詳細を見る

世界の新たな潮流への切り札、逆さ地図による柔軟・大胆な発想を

日本はこれまでアメリカ主導の戦後秩序と同盟で、地政学的な脅威から守られてきました。しかし、イギリスがEU離脱する等、自国の「国益」を第一に考える政治が多くの支持を得る時代となり、これまでの国家間の妥協と協調を善とする考え方に変化が生まれている状況と言えるでしょう。また、中国の台頭と相対的な意味でのアメリカの衰退といった背景もあります。そうした世界の流れに対し、情勢の基本的な方向、これらの事態への日本が最良の対処をするにはどうすればよいのか…逆さ地図を基本とした地政学的見地からの柔軟な発想により見えてくるものとは。日本危機管理学会の会員でもある松本利秋さんによる、令和日本人必読の書です。

5. 「目的思考」で学びが変わる 千代田区立麹町中学校・工藤勇一の挑戦

多田慎介

「目的思考」で学びが変わる
千代田区立麹町中学校長・工藤勇一の挑戦

既成概念にとらわれず、「社会で生きる力」をのばし育てる教育。その実践と未来を追う

書籍詳細を見る

「社会で生きる力」を育てる 公立中学が挑む教育改革とは

宿題を出さず、定期テストを廃止し、固定担任制を無くす等、型破りな教育で注目を集める千代田区立麹町中学校。そこで校長を2014年から2020年まで勤めた工藤勇一さんや、周辺の方々への丹念な取材をまとめたのが本書です。大人の社会がめまぐるしく変わり続けているのと同様に、子供たちを取り巻く環境にも簡単には先が見通せない今日、例えば自由に起業したり転職したりできるような、社会で生きる力を身に付けてほしいとする工藤前校長。著者の多田慎介さんは、そうした常に生徒ファーストの姿勢に、そこから生まれる成果が大人たちの社会の課題解決につながっていると感じたと語ります。教育関係者、ビジネスパーソン、そして子供たちの未来を考える全ての人々の心を動かす一冊!

6. 戦略の地政学 ランドパワーvsシーパワー

秋元 千明

戦略の地政学
ランドパワーVSシーパワー

なぜ、世界中で争いがなくならないのか? 日本は今後、どう進めばいいのか? 国際情勢を読み解く鍵「地政学」について、安全保障の専門家がわかりやすく語った1冊。

書籍詳細を見る

世界はいまや予測不能領域へ… 地政学を鍵に読み解く今と未来

地域紛争の多発、国際テロの激化、中国やロシアの拡張主義、ポピュリズムの昂揚による民主主義の危機…そうした世界の諸問題を読み解くのに、重要なのが地政学です。大国(米国・中国・ロシア)は、地政学をどのように利用しているか、日本の地政戦略とは何か、また沖縄の位置づけとは。一人でも多くの国民が保障問題を正しく理解し、議論し、世界の安定と平和に貢献する意識を持てるようになること。それが21世紀の平和主義であると語る著者の秋元千秋さん。安全保障の専門家である著者が、緻密に国際情勢を読み解きます。

7. 李登輝より日本へ贈る言葉

李登輝

李登輝より日本へ 贈る言葉

ど元台湾総統李登輝の最新著書!日本と中国の本質を知り尽くした哲人政治家が、再生日本に向けた愛情と期待に満ちた激励の言葉。

 

書籍詳細を見る

日本復活への期待を込めて、李登輝からの魂のメッセージ

日本の歴史と人々の記憶に強烈な爪痕を残した東日本大震災。その未曾有の大惨事に際して200億円を超えるともされる、突出した額の義援金を寄せてくれた国が台湾でした。大きさは九州ほどで、人口わずか2300万人ほどの台湾が何故ここまで日本のことを想ってくれたのか…。その理由が、台湾を民主化に導き、台湾近代化のために奔走した人物、台湾元総統、李登輝の言葉に触れることでわかるかもしれません。夜ベッドに入っても、朝目覚めても、これからの台湾が気になり、それと同等、もしくはそれ以上に日本のことが気がかりなのだと語っていた李登輝。2020年、97歳でこの世を去った偉大なアジアの哲人が贈る、日本復活を鼓舞するメッセージです。

 

「いま」を知り、対応や対策への意識が芽生える書物との出会い。そうした意識のひとつひとつが大きな気運となり、日本のこれからを変えていく可能性があるのです。今回の特集がそんな読書体験となりますように。