前世紀最後の10年間に、冷戦が終焉し社会主義体制が崩壊したことで、アメリカが世界で唯一のヘゲモニー国家となった。そして、世界を覆うグローバル資本主義の大波は、ユーラシア大陸の文明・民族・国家間の軋轢にさらなる拍車をかけることと
なった。
このたびアメリカの、そして世界経済の心臓部を襲った同時多発テロは、世界市場経済が危機の入り口に立っていることを告げ知らせている。
世界経済は果たして危機を乗り越えることができるのか--。
本書では、資本主義社会の転換点・産業革命にまで立ち戻り、近代工業文明の功罪を明らかにし、グローバル資本主義を超える新しい経済システムの可能性を、川勝平太と岩井克人(東京大学教授・経済学)、松井孝典(東京大学教授・宇宙物理学)が語り尽くす。
他に、橋本寿朗(日本経済史)、鈴木健夫(ロシア経済史)、近藤和彦(英国史)、原洋之介(アジア経済史)の論考を収める。