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2017年7月6日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 米国ではラグジュアリーEV市場が激化する様相。ラグジュアリーEVとは販売価格が10万ドルを超える、デザイン、性能、スピードなどあらゆる部分に秀でた車だが、現在市販レベルに至っているのはテスラモデルSまたはX(ベース価格にオプションを加えたもの)のみ。しかし、ファラディ・フューチャー(FF)は今年のCESで発表した市販モデル「FF91」の予約受付を5000ドルの手付け金で開始しており、同社は「2018年のデリバリー」を主張する。

ファラディ・フューチャー社「FF91」

 FFは中国資本の「テスラキラー」として以前から話題に上がる企業だが、急激に成長、2年でプロトタイプを発表、さらに10億ドルをかけた工場を北ラスベガスに建設、その上自動運転からEVのレーシングにまで参戦、と非常に幅広い企業活動を展開。ただし資金繰りが苦しくなっている、との噂も絶えず、FF91が本当に来年発表になるのか、その価格はいくらになるのか、などの話題も多い企業だ。

 それでも度々FF91の走行ビデオなどを発表しており、市販が開始されることは間違いなさそうだ。それが同社の約束通り来年になるのか延期になるのかは疑問だが、同社がサイト上で発表する数々のスペック(現在最速とされるゼロから時速100キロ到達の数値など)が本当なら性能面でテスラモデルSを超えるものになるのは間違いなさそうだ。

ルーシッド・モータース社「エア」

 さらに、新規のEV企業ルーシッド・モータース(Lucid Motors)が「エア」と名付けたスーパーEVを2019年から市販予定、と発表している。エアは1回の充電で400マイル(およそ600キロ)が走行可能、としており、ゼロから時速100キロ到達は2.5秒とテスラモデルS並みの性能。こちらも予約をネットで受け付けているが、手付金は2500ドル、ただし最初の255台(特別ナンバリング)は2万5500ドルだという。販売価格は未発表だがおよそ10万ドルになる予定。非常に強気の設定だが、それだけ自信が伺える。
http://www.gallery.lucidmotors.com/?_ga=2.76351958.214239884.1499102825-329597977.1499102825

 ただしここに来て、以前からのテスラのライバルにも新たな動きが見られ始めた。フィスカーである。フィスカーは2007年に創業、ラグジュアリー・スポーツEVの「カルマ」で衝撃を与えた。元々はBMWのデザイナーだったヘンリク・フィスカー氏のデザインは「セクシーかつ大胆」と業界でも高く評価された。2008年には政府によるEV推進のための特別融資対象にもなり、テスラよりも評価されていた企業だ。

 その後テスラが順調に企業としての成長を成し遂げた一方で、フィスカーは財政難に陥り倒産、中国のワンシャン(万向集団)に買収され、現在はカリフォルニア州で「カルマ・オートモティブ」として再生中だ。

 しかしここで言うフィスカーは、この現在カルマと名前を変えた企業とは別物だ。フィスカー氏は売却の際に「フィスカー」と言う自身の名前に商標権を設置していたため、売却後の元フィスカーはフィスカーと名乗ることができず、カルマと名前を変えたのだが、一方でフィスカー氏はフィスカー・インクという名前で新たなEV企業を立ち上げた。

 非常にややこしいが、以前のフィスカーをベースに、現在はカリフォルニア州オレンジ郡に2つのEV企業が設立されている。一つは元のフィスカーを受け継ぎ、名前をカルマと変えた会社で、中国資本。米自動車業界を騒がせたカルマのデザインを発展させ、「レベロ」と名付けた車を受注生産している。https://www.karmaautomotive.com/revero

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