2024年4月27日(土)

Wedge REPORT

2010年9月1日

大人気イベント・キャンプの準備でテント張りに勤しむ親子たち

 もし子どもがいなければ、なおさら地域とのつながりを早くからつくっておくことは大切であろう。岸氏が、地域のイベントに積極的に参加する30代の若い夫婦に、「お子さんは何年生ですか?」と聞くと、「いえ、うちは子どもいませんよ」と言われて驚いたそうだ。「とても熱心にコミュニティに参加されていたので、てっきりお子さんがいるのかと思ったのですが、そこで自分の視野の狭さを反省しました」という岸氏は、今では「義務教育は税金で賄われている。その税金を払っている人は、もちろん子どものいない(できない)人もいるし、独身の人もいる。ならば義務教育学校は誰でも行く権利があるはずだ」という考えをもつようになった。地域の中心を学校とするのには、こういった理由もある。

 「子どもがいないのに参加しづらい…」と思わずに、勇気を出して何かの折に参加してみてほしい。「実は、お子さんがいない人の方が、ボランティアとしては重宝される場合もあります。子どもたちを平等な目で見てくれますからね」と、授業の丸つけボランティアを積極的に導入している小学校の担任の先生が言うほどなのだ。

 学校や子どもを媒介とした地域の大人同士のつながり。そして、世代を超えた大人と子どものつながり。この先日本はどうなるかわからないが、おそらく公教育に1円もかけられなくなったとしても、秋津小学校は地域で子どもを育てていくのだろうと感じた。日本中がそんな町でいっぱいになれば、誰もが安心して生きていける社会になるだろう。最も簡単な第一歩は、子どもがいればPTAに参加してみることだ。もし子どもがいなくても、現時点で全国にコミュニティ・スクールは約600校存在する。学校運営協議会、PTA、地域の代表の方、もちろん学校に直接でもよいので、まずはボランティアを募集しているかどうか問い合わせてみるのがよいだろう。

 ぜひ明日から、自分の住む町を「寝に帰る場所」から「暮らす場所」に変えるための一歩を踏み出してほしい。

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